yonigeら所属レーベル<small indies table>鈴木健太郎に聞く、シーンへの問題意識 「“奥行き”を感じられるバンドは少ない」

yonigeら所属レーベルヘッド取材

大事にしているのは4組のバランス感

--レーベル全体の地力が上がって迎える今回のツアーだと思いますが、鈴木さんは2年前と比べて、今回のツアーをやる意義はどのように変わってきていると感じますか。

鈴木:この2年間、基本的にyonige、KOTORI、FOMAREって対バンで共演することをあえてやめていて、ほとんど共演がなかったんですよ。KOTORIのツアーに何回かyonigeが出たくらいで、対バンとかフェスの日にちも違うことが多いので、そういう意味ではこの2年間の成長をそれぞれが見せられる絶好の場になる気がしていますね。逆に言えば2年前はyonigeのイメージが抜きん出ていた部分もあるので、他の3バンドにはすごくバチバチ感があって。レーベルとしてもyonigeに頼りたくなかったから、シークレットゲストで一カ所だけ(恵比寿LIQUIDROOM)出た以外、あえてyonigeはツアーに出ていないんです。だから特にFOMAREとKOTORIは互いにかなり意識し合っていて、どっちがトリを取るかで感情の起伏が激しくなっていたというか(注:街人はオープニングアクトとして出演)。トリに関しては全部僕が決めているんですけど、LIQUIDROOMでKOTORIがトリって決まった時は、FOMAREはハラワタが煮えくり返るぐらい悔しかったと思うんですよ。僕はどっちもトリはできると思っていたんですけど、レーベルカラーとして「このタイミングで、このライブハウスはこのバンド!」という直感的なイメージで決めていたので、やっぱり2年前は若くてセンシティブなツアーをやってましたね。

ーーなるほど。

鈴木:それを経てKOTORIも先日、赤坂BLITZでキャリア史上最大規模のワンマンをやったんですけど(2020年1月)、yonigeは武道館、FOMAREはコーストのワンマンを経て3バンド集まるわけですし、今回は以前のようなバチバチ感というよりは、それぞれがちゃんと実力をつけたことで、ファミリー感とかレーベルカラーが見えるようなツアーになる予感がしていますね。もちろん仲良しこよしという意味ではなくて、「<small indies table>ってこういう空気感でやっているんだよ」というのが感じられるんじゃないかなって。

ーー今回出演はないですが、街人に対してこれから期待するのはどういうことでしょうか。

鈴木:街人はメロディセンスというか、ソングライティングのセンスがすごく良くて。ライトな曲から極上のバラードまで書けますし、ラップもできたりレゲエを取り入れた曲も書けるので、曲の振り幅で言ったら<small indies table>の中で街人が一番ですね。奥(智裕/街人)自身も、幼少期は海外に住んでいたこともあって英語がすごく堪能なので、他の3バンドにない強みやレンジの広さをもっと活かして、今年は面白いことができたらいいなって考えています。

ーーyonigeとFOMAREは比較的ドメスティックなサウンドを鳴らしていて、KOTORIと街人はエモやオルタナ、ヒップホップといった洋楽的な要素を取り入れるのが上手いバンドという印象があるんですが、その点で<small indies table>の音楽性の幅も徐々に広がってきているんじゃないかと思います。

鈴木:でも、yonigeもメンバーは洋楽志向だったりするので、『HOUSE』以降はミドルテンポの洋楽風なエッセンスが入ってきたりしています。4月にアルバムがリリースされますけど、そこにも疾走感だけじゃない新しさが詰まってるので、yonigeも進化は遂げているのかなと思いますし、逆にFOMAREはよりドメスティックな方向に行く作品を作りそうなので、そういう4バンドのバランスはすごく大事にしていますね。

■ツアー情報
『small indies table tour 2020』
3月19日(木)Zepp Nagoya
→【振替日】8月3日(月)Zepp Nagoya(開場18:00 / 開演 19:00)
3月20日(金)Zepp Osaka Bayside
→【振替日】8月4日(火)Zepp Osaka Bayside(開場18:00 / 開演19:00)
2020年3月28日(土)Zepp Tokyo(OPEN:17:00 / 18:00)

レーベル公式サイト

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