乃木坂46、「しあわせの保護色」はグループの“今”を表した楽曲に MVや歌詞から伝わる白石麻衣への愛

 ライブ初披露となった『乃木坂46 8th YEAR BIRTHDAY LIVE』(以下、バスラ)でも、涙を堪えきれなくなった松村の表情を見て、白石が感極まり、それが秋元真夏に……と徐々にメンバーへと広がっていった。今年の『バスラ』は、白石にとって最後のバスラであるのと同時に、グループを卒業していったメンバーが担っていた楽曲のポジションやパートの重みが改めて体現された4日間だった。実際、上述した3曲の卒業シングルは、メンバーにとってライブで披露するには覚悟のいる楽曲に昇華されている。西野七瀬の偉大なポジションを担った遠藤さくらが涙ながらに披露した「帰り道は遠回りしたくなる」は、乃木坂46の歴史と受け継がれていく意思を感じさせる場面だった。

 そんな背景を受けてか、白石は『乃木坂46新聞 デビュー8周年記念』でのインタビューにて、「私はこの曲で最後だけど、楽曲を『卒業楽曲』にはしてほしくない」「私の最後と結びつけるよりも、前向きになれる曲が増えたと思ってほしい」と答えている。白石の優しさが伝わるコメントであり、今後も「しあわせの保護色」は歌い継がれていく。今後、メンバーは白石の偉大さを感じながら、そのポジションを担っていくのだろう。

 先月放送された『佐久間宣行の東京ドリームエンターテインメント』(ニッポン放送)に秋元康が出演した際、坂道グループの色分けについて語った発言が話題となった。欅坂46「サイレントマジョリティー」は、秋元がオーディション時にメンバーたちから感じた「大人たちに支配されない」というイメージがもとになってできた楽曲であり、プロデュースは0から1を生み出すのではなく、本人たちにある0.1から1にする、というエピソードだ。

 「しあわせの保護色」を初めて聴いた時、まさにこの曲は今の乃木坂46を表した楽曲だと感じた。

〈しあわせはいつだって 近くにあるんだ〉
〈保護色のようなもの 気づいてないだけ〉

 普遍的なメッセージを歌いながら、白石麻衣という当たり前にある存在、そして親友、家族……というありふれた関係を超えた乃木坂46に満ち溢れたメンバー愛を、やっと見つけた“しあわせ”と、「しあわせの保護色」は伝えている。

※記事初出時、一部表記に誤りがございました。訂正の上お詫びいたします。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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