lynch.が“野郎共”と本気で暴れ倒した激烈ライブ 新宿BLAZE『MEN'S ONLY』公演を振り返る

lynch.『MEN'S ONLY』公演を振り返る

 本編終了後、フロアでは暴れ足りない飢えた獣達がもっとよこせと叫び出す。途中「セックス! セックス! セックスオンザビーチ!」や「やーらせろ!」コールが会場全体から沸き起こり、治安が最悪になったところで「やーらせろ、はやめようぜ(笑)」とメンバーが登場。MCで葉月は自身のジャンル分け文化への思いを話し、「ここでこれしよう、とかここでこれやっちゃダメ、とかそういうの嫌いなんで好きにやってください!」と告げ、その言葉に応えるかのように淫語や怒号が飛ぶ。そしてMC決めジャンケンで2日連続選出された悠介(Gt)が缶チューハイ片手に「やっちゃってよ!」と煽り、「BEAST」「INVINCIBLE」「TIAMAT」と畳み掛け、アンコールの間に回復したフロアを瀕死まで追いやっていく。「絶対またやろうなー!」と「LIGHTNING」でアンコールを締めくくった。

 再びメンバーが去ったステージに向かってさらなるおかわりを要求する底無しの男達。熱いコールに応えて再度メンバーが登場。正真正銘のラスト「MIRRORS」へ。フロア全体を巻き込むこの日一番のサークルピットに向かって「どこへ行こう、お前ら”バカ”を連れてー!」と叫ぶ葉月。この日一番の野太い歓声が上がり、全22曲、内9割が暴れ曲という守りに入る気ゼロの常軌を逸したライブは幕を閉じた。

 あれだけ飢えていた野郎共を見事に満足させたlynch.。彼らにはどんなに飢えていても俺達が絶対に満足させてやる、という頼れる兄貴的な空気感があり、男から見ても男らしく、この人達に着いていけば確実に最高の景色を見せてくれると思わせるような力があると思う。これこそlynch.が女性ファンはもちろん、多くの男性ファンを獲得する所以なのではないだろうか。などと考えながら私は激烈に熱くて臭いフロアを後にした。

 この日の余韻に浸り続けたい気持ちも山々だが、lynch.の「15th ANNIVERSARY PROJECT」はまだ折り返しもしていないし、ニューアルバムの発売とそれに伴う全国ツアーも控えている。このプロジェクトで兄貴達がさらなる唯一無二を見せてくれる時を楽しみにしたい。”かつてない、何者でもない何か”になる、その時を。

■タンタンメン
自身の活動から得た経験を元に音楽記事を執筆する元バンドマンのフリーライター
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lynch. オフィシャルサイト

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