Uru、ドラマ『テセウスの船』主題歌が最終回目前にバイラルチャート急上昇 共感度と普遍性の高い1曲に

 そんなUruの音楽の特徴は、聴き手の心を優しく包み込む伸びやかな歌声と、ドラマなどの脚本を入念に読み込んだ上で描かれる情感豊かな歌詞である。例えば「フリージア」を『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(第2期)エンディングテーマとして書き下ろした際、ガンダムという深いテーマと対峙するべく、過去作品もしっかり鑑賞した上で作詞に臨んだと語られている。

Uru「フリージア」

 そうして紡ぎ出された言葉は、ドラマの世界を引き立てると同時に、リスナーひとりひとりの感情に訴えかけるような共感性の高いものへと昇華されていく。今回の「あなたがいることで」に関していえば、〈いつか僕に話してくれた/あなたが描いた未来の中に/僕ら一緒にいられるように〉という歌詞は、未来を変えようと奮闘する『テセウスの船』の主人公・心と家族の関係を温かい言葉で描き出しているとともに、「未来も大切な人と一緒にいたい」という誰もが心に抱いている普遍的な想いすら体現する美しいラインだ。登場人物たちの絆を確かめあうような場面でこの曲が流れることで、ますますその後の展開への期待と不安で胸が締め付けられる。

 また、曲調としても昨今珍しいくらいの王道バラードに仕上がっており、衒いのないメロディと小林武史の編曲も相まって、上述したUruの言葉が真っ直ぐ心に響いてくる。『テセウスの船』との相性が抜群なのは言うまでもないが、聴き手の心にスッと入り込み、深く浸透していくような「あなたがいることで」という曲自体の美しさが、このバイラルチャートの結果をもたらしているとも言えるだろう。

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