豆柴の大群、成功の秘訣は? クロちゃん×渡辺淳之介、視聴者を飽きさせない“珍味”的な組み合わせ

 YouTube対決で披露された2曲はそれぞれ全く異なるカラーとなっている。「ろけっとすたーと」が「りスタート」と同じクレジットであるのに対し、WACKプロデュース「大丈夫サンライズ」は作詞がJxSxK×松隈ケンタ、作曲が松隈ケンタ、編曲がSCRAMBLESというWACK色全開の楽曲だ(JxSxKは渡辺淳之介の作詞家としてのクレジット)。クロちゃんの私情によって落とされたカエデの加入が前面に打ち出された歌詞とMV、スケバンテイストの衣装、クロちゃんの好みとは相反するロックな楽曲。この勝負にクロちゃんは「ろけっとすたーと」で、さらに自分の希望とするカラーを投影している。「りスタート」の間奏でクロちゃんが「言いたい事があるんだよ!」から始まるガチ恋口上を叫ぶが、「ろけっとすたーと」ではサビでファンのコールが多く差し込まれる。〈サイドステップで踏みつぶした恋心が〉〈チワワを外に飼いならし実験〉など、クロちゃん節もいまだ衰えていない。どちらもSCRAMBLESが編曲を行っているため、甲乙をつけるのは野暮であるが、より癖のある楽曲としてリピートされた結果が、約100万再生の差となったのだろう。

豆柴の大群「ろけっとすたーと」MUSIC VIDEO
豆柴の大群「大丈夫サンライズ」MUSIC VIDEO

 また、特筆しておきたいのが、豆柴の大群がバラエティ番組発の数少ないアイドルグループであるということだ。例えば、グループの結成が決められている前提で始まるアイドル番組は、多くあれど、もともと存在していたバラエティ番組からアイドルグループが生まれることは非常に珍しい。2000年代に一斉を風靡した『クイズ!ヘキサゴンII』(フジテレビ系)から、羞恥心やPaboなどアイドル的人気を獲得したグループが数多く生まれた。かつての熱狂とまでは言い過ぎかもしれないが、豆柴の大群にはそれに近い現象と、いまだに根強いテレビの力を裏付ける結果となっている。

 豆柴の大群のアドバイザーに就任したクロちゃんは、第3弾シングルについて「次は夏曲で水着」とアドバイス。セクハラに近いクロちゃんの発言にメンバー5人はあからさまに嫌そうな顔をしながらも、「アイドル界のナンバーワンを取るぞ! ワン! ワン! ナンバーワン!」と円陣を組み、“りスタート”を志した。今後、クロちゃんが豆柴の大群にとって、どのような立場に立つのか明らかにはなっていないが、この珍味の組み合わせはしばらく飽きられることはないだろう。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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