2020.03.01 12:00

AAAが男女混合グループとして打ち立てた偉業　“Attack All Around”を体現した15年の歴史

文＝ふくりゅう

　あらためて注目したい楽曲が「ハリケーン・リリ、ボストン・マリ」（2006年5月31日）だ。ザ・クロマニヨンズの真島昌利が作詞・作曲を担当したロックンロールチューン。人懐っこいメロディが心を掴んで離さないAAAファン以外にもあらためて知ってもらいたい大名曲。メンバーによる生き生きとしたボーカルワークが最高の一体感を生むライブアンセムへと育った。

AAA「ハリケーン・リリ、ボストン・マリ」MV

　今や、音楽シーンのご意見番的ポジションを確立した音楽プロデューサー・蔦谷好位置作曲の「MUSIC!!!」（2008年8月27日）にも注目したい。ラテン、ヒップホップ、ジャズなどを取り入れた開放感抜群のダンサブルなポップチューン。あらゆるジャンルを飲み込んできたAAAらしさのひとつの到達点と言えるかもしれない。当時「AAA？アイドルでしょ？」そんな偏見を持っていた人に「MUSIC!!!」を聴かせるのが楽しかったことを思い出す。一気に評価をオセロのようにひっくり返したクオリティ高きナンバーだ。それこそ、SMAP「SHAKE」級の壁を超えていくパワーを持つポップソングと言えば、まだ出会えていないあなたにも伝わるだろうか。

AAA「MUSIC!!!」MV

　AAAとは縁の深い、小室哲哉からの提供曲もファンの中で人気が高い。なかでも「負けない心」（2010年8月18日）はglobe～trf直系のTKらしさ溢れるピアノアンサンブルを軸にしたエレクトロポップナンバーだ。そう、AAAという枠組みは時代も世代もあらゆるコミュニティも超えていく。

AAA「負けない心」MV

　AAAは、同時代性ある海外サウンドとシンクロすることで新たな境地へと進化し続けてきた側面を持つ。鬼才☆STAR GUiTARの作曲による「Love Is In The Air」（2013年6月26日）は、開放感に富んだドリーミーな展開が特徴。プレイリスト文化の現在、エバーグリーンなドライブソングとして再評価したいナンバーだ。

AAA「Love Is In The Air」MV

　ファン人気の高い曲といえば「虹」（2012年10月31日）だろう。GReeeeNによる書き下ろし楽曲であり、GReeeeNによるコーラスも加えられている。心に勇気を与えてくれるポップチューンだ。

AAA「虹」MV

　AAAの代表曲といえば、一般的には「恋音と雨空」（2013年9月4日）のイメージが色濃いかもしれない。『第55回日本レコード大賞』では「優秀作品賞」を受賞し、『第64回NHK紅白歌合戦』『第66回NHK紅白歌合戦』で披露されたカラオケ人気も高いナンバー。ストレートな恋愛感情を繊細に表現した純度高いラブソングだ。ちなみに、「恋音と雨空」はインストバージョンで聴くのも心揺さぶられるのでオススメ。恋愛ドラマに没入したかのような感覚を味わうことができる。

AAA「恋音と雨空」

　AAAを世界へレペゼンする上で重要なナンバーが「NEW」（2016年6月8日）だ。イギリスの人気アーティスト、DJ Freshを思わせるドラムンベース調の軽快なビートで展開するポップチューン。ロサンゼルスで撮影されたMVでの、メンバーが横並びで登場するアベンジャーズ感にも注目してほしい。AAAの一つの完成形と言っても過言ではないはずだ。

AAA「NEW」MV

　グループの特性、アイドルとアーティストの狭間に揺れる葛藤。個の連帯による表現者集団として歴史を刻んできたAAA。ここまでの道のりは決して簡単ではなかったかもしれない。しかし、どんな苦難が降りかかろうとも“負けない心”を持つ強さ。なによりもメンバー同士の信頼感。熱量の高いファンとともに着実に一歩ずつ階段をステップアップした結果、日本トップクラスのアーティストへと上り詰めたのだ。

　そして、活動休止を発表した2020年……。

　今年、AAAは11月7日のメットライフドーム（埼玉）を皮切りにAAA史上最大規模となる初の全国6大ドームツアーを開催する。12月26日、札幌ドーム（北海道）まで、あらためてAAA旋風が起きることだろう。今回の活動休止はメンバー自身が話しているように“AAAが好きだからこそ”の決断だ。来るべき復活の日、その日まで残してくれた作品の数々を大事に継承していきたい。

　15周年記念オールタイムベスト『AAA 15th Anniversary All Time Best -thanx AAA lot-』とは、AAAを再発見するために与えられた機会、そんな1枚なのだと思う。

■ふくりゅう（音楽コンシェルジュ）
Yahoo!ニュース、J-WAVE、NHK、Spotify、LINE MUSIC、AWA、ミュージックマガジン、音楽主義などで書いたり喋ったり選曲したり考えたり。Spotifyで公式プレイリスト『キラキラポップ:ジャパン』を毎週火曜日更新で選曲中。Twitter