ヒプマイ Fling Posseはディープな絆と色を携えて新たなフェーズへ 最新作で明かされたシブヤ・ディビジョンの真実の物語

ヒプノシスマイク シブヤ・ディビジョン 『Fling Posse –Before The 2nd D.R.B-』

 いずれの楽曲も、音楽的充実に加えてキャスト陣の役者としての演技力・表現力が光るからこそ深い物語を感じられる、複雑な構造となっている。ヒップホップと声優の親和性の高さと、『ヒプノシスマイク』のオリジナリティをあらためて示したと言えるだろう。M4のドラマトラック「マリオネットの孤独と涙と希望と」を踏まえて楽曲を聴き直すと、その真価がわかるはずだ。

 と、新譜を一通り聴いたところで再び注目したいのが、昨年リリースされたアルバム『Enter the Hypnosis Microphone』に収録されたFling Posse「Stella」である。夢野幻太郎による導入の効果でフィクション性の高い楽曲と思わせながらも、その内容は真実を伴っていると確信させる力を持った名曲だったが、今回のCDがそのアンサーの一部となっているのは間違いない。これまでのすべての楽曲を通じて、シブヤ・ディビジョンの真実の物語が描かれていたことが明かされたのだ。

 今回のドラマトラックでは、シンジュク・ディビジョン「麻天狼」に負けた理由を自分達の中に探す姿も語られるが、その先に「Stella」があり、今回の「ピンク色の愛」「蕚」「SCRAMBLE GAMBLE」というソロ曲に続く。前回のバトル後に生まれた3人の絆がそれぞれの形で表現されていることに、涙したファンも多いのではないだろうか?

ヒプノシスマイク-D.R.B-「Drama Track「マリオネットの孤独と涙と希望と」」

 カラフルな渋谷の街を想起させるような『Shibuya Marble Texture -PCCS-』で示した、個性的でスタイリッシュな方向性はそのままに、よりディープな絆と色を携えて次のステージに向け新たなフェーズに入ったFling Posse。希望をもって彼らの未来を見守っていきたい。

■草野英絵
ライター。アニメ、ゲームなどのエンタメ記事を中心に雑誌・WEBで活動中
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