嵐 大野智の歌声の特徴は? 「two」「Hung up on」……ソロ楽曲からみえるボーカリストとしての魅力

 ボーカルとしての唯一無二な存在感を発揮しながらも、トラックを活かすように歌うこともできる大野。2011年7月発売の『Beautiful World』収録曲「Hung up on」が最もわかりやすいが、大野の歌唱法は“間”の取り方が非常に巧みで、これが嵐の歌唱面を牽引するひとつの武器となっているのだろう。個人およびグループの強みとしてライブ披露時にはダンスも加わるが、“大野智”という圧倒的な記名性の高い歌声そのものがすでに、彼のパフォーマーとしての優れた才能だといえるだろう。

「Hung up on」

 さらに、大野の歌を語るならば、コーラスについても触れておこう。2010年8月発売の『僕の見ている風景』収録曲「静かな夜に」では、大サビで声の柔らかさを活かした澄み切ったコーラスを披露している。また、“コーラス”から話を発展させれば、2006年発売の『ARASHIC』収録曲「Ready To Fly」では、大野以外のメンバーがサビでコーラスとして参加。同曲は、厳密にいえば大野のソロ楽曲ではないものの、ほぼ大半のパートを歌唱しており、メンバーのコーラスが効果的に組み込まれたファンからの人気も高い楽曲だ。

「静かな夜に」
「Ready To Fly」

 あわせて、2011年発売の『Beautiful World』収録曲「Hung up on」冒頭では、櫻井翔がラップを披露。「ソロ楽曲でも嵐の楽曲だ」と言わんばかりに、メンバー間の繋がりを活かした新たな試みのソロ楽曲を制作してきた。これらのチャレンジ精神に溢れた楽曲も、前述した“間”の取り方の上手さといった大野の安定感あるボーカルスキルはもちろん、突き詰めればやはり、嵐というグループへの信頼と愛情があってこそ実現するものだろう。

 今回の全アルバム楽曲の配信解禁は、大野の歌声の魅力がますます知れ渡る絶好の機会になるはずだ。また、今回はグループを代表して大野を取り上げたが、そのほかのメンバーも良曲揃いなソロ楽曲をストックしている。そこにダンスパフォーマンスも重なれば、もはやここでは語り尽くせないほど魅力に富んだグループだと言うほかない。

 代表曲「A・RA・SHI」や「Love so sweet」だけではない、これまで広く知られることのなかった嵐のアルバム曲。大野のソロ楽曲を含めて、嵐の作品がより多くのリスナーにまで届くことを心より願っている。そして、大野のソロ曲でまだ未配信のままとなっている「Song for me」や「Take me faraway」などもあわせて解禁してほしい。

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる