TRIGGERの持つ“強さ”とは何か 『Crescent rise』に表れた変化と自信

 TRIGGERのファンはよく「TRIGGERが最強」と言う。メンバーの発言が元とはいえ、そもそもTRIGGERの持つ“強さ”とは一体何なのだろうか。

 これまでは、彼らの高いプロ意識やポテンシャル、完成度を以って“強い”と感じてきた人も多いだろう。もちろん彼らには強烈なパワーがあり、実力も魅力も申し分がなくこれまでそれが陰りを見せたことはない。

 彼らはブレることがない。常にTRIGGERとして完璧で、質の高いステージをファンに見せてきた。しかしそのブレなさは、下手をすれば停滞に繋がりかねないものだ。

TRIGGER「Crescent rise」

 だがTRIGGERは、それまでの“アイドルらしく極上の夢を見させる”ようなフィクション性が強い楽曲だけではなく、メッセージ性の強い楽曲も多くリリースするようになってきた。さらにここにきて、「Crescent rise」や「Treasure!」のようにある種の泥臭さすら感じる熱い楽曲を続けて発表し、彼らの持つ強さがまた少し変容したように感じるのだ。

 事務所独立によって活動形態に変化があったことも要因かもしれないが、多分それはきっかけの一つに過ぎない。燃えるような情熱や男らしい泥臭さはそもそもTRIGGERが持ち合わせていたもので、今の彼らがそういった熱さをステージに持ち込んだとしてもTRIGGERの価値や個性が変化することはない。ニューシングルの2曲は、彼らのそんな自信の表れではないだろうか。(“自信”というキーワードはまさにTRIGGERの得意とするところだ。)

 最初は単にライバルに勝てる実力、チャートでトップを取れる、ダンスも歌唱もレベルが高い……そんな意味で“最強“だったのかもしれない。だが今、変わることのないハイレベルなパフォーマンスに加え、3人の男らしさや情熱がリアルに感じられるというのは、TRIGGERの新しい武器だ。〈限界点など 超えてみせるから その先に見える未知の場所でまた会おう そう、何度だって〉という歌詞のとおり、情熱を燃やして上昇するTRIGGERの姿に励まされるファンもますます増えていくだろう。「TRIGGERが最強」という合言葉は、ファンとアーティストという枠を超え、お互いを高め合える戦友に似た関係性を表したものなのかもしれない。

 何より、そうやってアップデートされていくTRIGGERを、TRIGGER自身が好きでたまらないのだろう。そういう意味では、今の彼らが他のアイドルの追随を許さない“最強のTRIGGER“であるのは間違いない。

 「Crescent rise」は、最近の曲にしては珍しくフェードアウトで曲が終わる。まるで、この先のTRIGGERの道がどこまでも続いているかのようだ。続いた先に「Treasure!」ーー宝物があるのだからたまらない。さらに先の未来、3人はどんな景色を見せてくれるのか。私たちは幸福なことに、その未来を夢見ることを許されている。

■草野英絵
ライター。アニメ、ゲームなどのエンタメ記事を中心に雑誌・WEBで活動中。Twitterアカウント(@_hanae_

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