コレサワが『失恋スクラップ』を通して語る、ラブソングを歌う面白さ「恋愛は人間だからできる楽しみのひとつ」

コレサワ『失恋スクラップ』インタビュー

たった20秒くらいのトキメキ感を3分で歌う

ーー「たばこ」を書いた当時、自分でこれは書けたなっていう感触はあったんですか。

コレサワ:何もなくて、曲できたっていう感じで。歌っていたら、みんながやたら褒めてくれたんです。いい曲だねって。でも自分のなかでのいい曲かって言われたら、はめっちゃいい曲! って言える感じではなかったんですね。だから自分の好みとみんながいいと言ってくれる好みは、やっぱり感覚が違うんだなっていうのは思ったから、最初は不思議でした。みんなが聴いてくれたり、この曲がいちばんカバーされたりするのも不思議でしたね。ちょっと前までは歌うのもイヤだったんですけど、ここ1、2年くらいはちゃんと歌えるようになりました。

ーー人に求められるものと、自分が発信するものとのギャップは感じていたんですかね。

コレサワ:自分がいいと思った曲と、世の中がいいと言ってくれるものが違ったりするから、感覚がズレてるのかなって思ったことはあるんですけど。でも、それを質すよりは、ズレたものも必要じゃないですか。世の中、全部が全部正しいものばかりだとつまらなくなっちゃうから。自分は自分で好きなものを作ろうって思っていたんです。でもたまに、一歩引いて作ってみるのもいいなっていう。今回はそのちょっと一歩引いたものというか、聴いてくれる人が考えられるような余白を入れた曲が多いので、自分としては実験的なアルバムになったのかなと思うんです。

ーーこういうふうに失恋の曲で1枚出すことで、自分に何かイメージがついてしまう怖さはないですか。

コレサワ:ああ……逆に、私は多分「たばこ」がいちばん聴いてもらっている曲だと思うんですけど、失恋というイメージより、「たばこ」のイメージだと思ったから。むしろもっとイメージを掘り下げて、恋愛と言ったらコレサワみたいになりたいっていうのもあったんですよね。だから今回の『失恋スクラップ』はそういうきっかけになったらいいなって思います。恋愛と言えばコレサワってなりたいっていう第一歩の作品という感じなんです。

ーーそうなるためには、自分ならではの表現方法や視点が求められそうですね。そのあたりは、どう自分で意識して作っていくんでしょうか。

コレサワ:私は、細かいことを歌うのが好きなんです。だから、大雑把なテーマよりは、その出来事のたった20秒くらいのトキメキ感を3分で歌うとか、なるべく切り取るところは細かくしていたいなって思いますね。

ーーああ、確かに。例えば「最後の彼女になりたかった」なんてもう、歌詞が名言の嵐ですよね。離れていった人に対して、〈君が分けてくれた友達と趣味と口癖はどうするの〉とかは改めて、こういう感情ってあるなとか、思いを掘り起こされるんですよね。歌を聞いて、自分も確かにそういう気持ちがあったなって気づかされる。そういう鋭いポイントっていうのをどう見つけるんだろうって思う。書いてるときは、あれこれとリアルな映像が浮かんでいるんですか。

コレサワ:リアルに書くっていうことなんですかね。みんなと同じことを歌ってもしょうがないし、自分だけの目線って言ったらこういう細かいことを言うってことがいちばん自分らしいなって思うし。自分もそういうディテールが細かいことを歌っているものが好きっていうのもあるんですよね。あとは、自分がドキっとするフレーズが好きだから。さっき改めて考えさせられたって言ってもらえたように、そう思ってもらいたいなっていうのがどこかにあると思うので。なるべく、みんなが考えてくれるフレーズを歌詞にしてますね。

ーーそれは自分も周りの経験談もあると思うんですけど、リサーチみたいなこともするんですか。

コレサワ:リサーチというのではないんですけど、なるべく友達と会って話すことをしようとは心がけてますね。ひとりで家にいるよりかは、例えば映画を観に行ったりとか、何か誰かの作ったものに触れたりとか。それはもしかしたらリサーチというのかもしれないですけど(笑)。なるべく友達と話すようにしてます。

ーーそこで気づいたことを心に留めておくみたいな?

コレサワ:とくに書き留めたりするようなことは、たまにしかしなくて。ふとしたときに思い出すことがあるじゃないですか。それを楽しみに待っているという感じかもしれないですね。パッと思いついたときに、そのフレーズが一緒にメロディも連れてきてくれることがあるんです。それが歌になることが多いので。だから歌詞だけを残していたりしなくて、それがメロディがつくまで頭のなかに保存しておくという感覚なんです。

ーーそれが、ある日ポンと出てくるっていうのは、何か強烈なものとして残ったということなんでしょうね。

コレサワ:そうですね。何かを思い出す、思いつくということはそういうことなのかなと思いますね。ということは、歌ったときも誰かに引っかかるんじゃないかなって。

ーーなるほど。コレサワさん自身がアレンジをしている「帰りたくないって」は、ダンスミュージックっぽいノリにしていて。

コレサワ:この曲は元彼の家に荷物を取りに行く女の子の曲なんですけど、帰りたくないって言っちゃいそうな自分と絶対にそれを言いたくない自分の戦いだから、なるべく心がバタバタしている感じをやりたくて。自分でちょっとアレンジしたものを、バンドメンバーがそれぞれ膨らませてくれた感じだったんです。

ーーその自分対自分の葛藤をものすごく短い曲にまとめましたね(笑)。まさにさっき言っていたような一瞬の思いを封じ込めた曲になってる。

コレサワ:パッと終わる曲を作ってみたかったというのもあるので、今回それが夢がかなった曲でもありますね。ただ単に4つ打ちのドラムで歌いたかったのもあるんですけど。バンドのサウンドを考えながら一緒に出てきたものなので。元彼の家に荷物を取りに行った日を思い出したんだと思いますね(笑)。

ーーちょっとした情景の描写、彼の家にある荷物がまだ彼女のように並んでいるっていうのがまたいいんですよね。

コレサワ:そういうことってみんなも経験あるかなっていう感じですね。元彼の家に荷物を取りに行く途中の子に、BGMとしてかけてほしいですね、背中を押しているのかわからないですけど(笑)。

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