Red Velvet、SUNMI……希少な個性を持つK-POP女性アーティスト ミステリアスさや視覚的な刺激が魅力に

 そんなRed VelvetやSUNMIのミステリアスなアーティスト性は、側から見ても目を惹きつけるものだ。“良い曲”である他に、色鮮やかなミュージックビデオをはじめとするポップな演出が視覚的にも強い刺激を与えるからであろう。また、イメージだけでは単純にどんな子かよくわからない“不思議ちゃん”であるからもっと知りたいと興味を持つことも根拠としてある。K-POPでは新曲のMVや歌詞などをリスナーが解釈することでより楽しめる仕掛けを施すケースも多いが、多くの人に届けるためには該当する演出が複雑すぎない、深読みさせすぎないことも重要だ。多少解釈を要しても、ある程度の着地点は準備していなければならない。

 そのようなミステリアスな個性を持つK-POPアイドルは実は少数派だ。それは時代と共にアイドル本人の性格やビジュアル、スキルで十分な人気を獲得できるようになったことで、コンセプトをそこまで重視しなくなったケースが増えたからではないだろうか。実際に韓国でもオーディション番組のヒットをきっかけに、成長途中である練習生にも人気が集まってきている。結果として“等身大の恋愛ソング”が一番広く受け入れられやすいという考えに至り、流行するのは自然な流れと言える。

 逆に作り込まれたコンセプトを持つアイドルは敬遠されがちになってしまう。他人が思いつかないような絶対的な個性を生み出すのに労力もかかり、それは必ずしもヒットするという保証もない。その上、アイドル本人のポテンシャルの高さも必要だ。前例のない個性を表現するためには、固定概念にとらわれず自らが打ち出すスタイルでアーティスト性を発揮しなければならないからだ。そのため、Red VelvetやSUNMIのようなアーティストのスタイルは希少であり、重宝されるべき魅力であると言えるだろう。

■momotoxic
ブロガー。自称”楽曲派”。Twitter:@momotoxic1006

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