Royal Scandalは誰もが輝ける場所を提供するユニットだ 『WONDER TOUR』東京公演を観て

Royal Scandal『WONDER TOUR』を観て

 衣装チェンジして再び登場したluzは、MVで表現されている心情だという“絶望”を「マジックリングナイト」、“復讐”を「ビーストインザビューティ」、“嫉妬”を「REVOLVER」で体現。終盤に差し掛かった頃に奏でたのは、探していたプリンセス(歌姫)の名前がタイトルとなっている「チェルシー」。彼女の名前を思い出すことに成功すると、「あなたの心臓を捧げなさい」と言葉を投げるluzを中心に、ビックバンド風なサウンドに官能的なワードが包まれた「クイーンオブハート」でラストを飾った。

 アンコールでluzと奏音69による「ファーストレディー」を披露した後は、本公演初めてのMCに。自身がオーガナイザーである『XYZ TOUR』のことを口にしそうになる手前で、慌てて「Royal Scandal」と言い直すluzに、「いま、なんて言った?」と尋ね、「『XYZ』やんな。じゃあ私は帰りまーす!」と奏音69は、少し拗ねた様子を見せる。徹底されたパフォーマンスの裏にある、彼らの素の姿が見えるのはライブならではだ。そのこと自体が、〈視えるものだけが、真実じゃあない。(「ロイヤルフラッシュ」)〉に通じる部分ではないだろうか。様々な面を知ってこそ、真実に近づくことが可能になる。これまでの箍が一気に緩むような自然体のMCを経て、「R-18」、そしてRoyal Scandalの出会いの楽曲「チェリーハント」をもって、ライブは終幕を告げた。

 ストーリーを完成に導くには、「チェルシー」のような登場人物が欠けてはならないことを届けた一夜。ユニットのビジュアル面を手がけ、ステージに登場することのないRAHWIAの代わりに、luz、奏音69が、RAHWIAの重宝しているぬいぐるみをステージ上に置いていたのは、Royal Scandal自身のストーリーも、ひとりが欠けては完成しないことを証明しているようだった。

<セットリスト>
-OPENING-
M01 ワンスアポンアタイム
M02 ロイヤルフラッシュ
M03 ビタースウィート
M04 ハッピーアンバースデイ
M05 光
M06 ネクロの花嫁(Vocal:奏音69)
M07 Wondertale
M08 マジックリングナイト
M09 ビーストインザビューティ
M10 REVOLVER
M11 ファントムペイン
M12 チェルシー
M13 クイーンオブハート
-ENCORE-
EN1 ファーストレディー(Vocal:luz、奏音69)
EN2 R-18
EN3 チェリーハント

■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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