折坂悠太、日本のポップミュージックに起こる新しい波の鍵を握る 2020年さらなる活躍への期待

折坂悠太、2020年さらなる活躍への期待

 何より大きかったのは8月には配信限定でリリースされた「朝顔」だろう。月9ドラマ『監察医 朝顔』の主題歌として書き下ろされたこの曲は、彼の楽曲の中でも、口ずさみやすく、馴染みやすいメロディを持っている。ラストのダイナミックな展開も印象的だ。楽曲制作はドラマ監督やプロデューサーとの共同作業だったという。もちろんドラマ主題歌を担当すること自体、初の体験だったはずだ。CMやドラマといったタイアップにあたっても、彼自身の表現の核心をぼやかしたり薄めたりせず、それを一つのクリエイティブな“機会”と捉えて制作に向かったことが伺える。

折坂悠太 - 朝顔 (Official Music Video) / Yuta Orisaka - Asagao

 この曲をリリースし、前述の全国ツアー『折坂悠太のツーと言えばカー2019』で各地を回ってきた折坂悠太。3月末には東京、大阪公演が行われることも発表された。

 弾き語りに加えて、「折坂悠太(合奏)」、「折坂悠太(重奏)」という二通りのバンド編成でライブ活動を行っている折坂悠太。「合奏」は東京を拠点に、「重奏」は京都を拠点に活動している演奏家と組んだ編成だ。

 前述のカネコアヤノとのツーマンライブでは「折坂悠太(合奏)」で出演していた。寺田燿児(Ba)、田中久仁彦(Dr)、飯島はるか(Piano)、青野慧志郎(Gt、Cl、Sax、Mandolin)、宮坂遼太郎(Per)、ハラナツコ(Saxophone)との7人編成だ。

 一方、「折坂悠太(重奏)」は、yatchi(Piano)、senoo ricky(Dr、Cho)、宮田あずみ(Contrabass)、山内弘太(Gt)を迎えた5人編成。こちらは「道」と「荼毘」のライブレコーディングの模様がYouTubeで公開されている。

折坂悠太 - 道 live recording at UrBANGUILD / Yuta Orisaka - Michi
折坂悠太 - 荼毘 live recording at UrBANGUILD / Yuta Orisaka - Dabi

 二つのバンドは、同じ曲でもそれぞれまったく違うアンサンブル、まったく違う呼吸を見せる。しかし共通しているのは、とても豊かで純度の高い演奏だ。ときに荒々しく躍動的な、ときにおおらかな空気感を醸し出しつつ、ミュージシャン同士の感応からなる音楽的な興奮を見せる。

 折坂悠太の歌が、それだけの懐の深さを持っているということだろう。

 次回の公演は「折坂悠太(重奏)」の形で披露されるという。東京では稀な機会だ。「J-POP」としてのポピュラリティを一層得ていくだろう折坂悠太の2020年。その一方で、グローバルに感度を高めつつローカルを掘り進めることで頭角を現したのが歌い手としての彼の本領だ。その向かう先がどこになるのか、期待したい。

"折坂悠太 単独公演 2020" Trailer

■柴 那典
1976年神奈川県生まれ。ライター、編集者。音楽ジャーナリスト。出版社ロッキング・オンを経て独立。ブログ「日々の音色とことば」/Twitter

■ライブ情報
『折坂悠太 単独公演 2020』
折坂悠太(重奏)
Vo/Gt: 折坂悠太
E.Gt: 山内弘太
Cb: 宮田あずみ
Pf: yatchi
Dr/Cho: senoo ricky

【大阪公演】
3月23日(月) 梅田 CLUB QUATTRO
open 19:00/ start 20:00 ¥4,200(前売/1ドリンク別)
問い合わせ:06-6535-5569(SMASH WEST)

【東京公演】
3月27日(金) 渋谷 TSUTAYA O-EAST
open 18:30/ start 19:30 ¥4,200(前売/1ドリンク別)
問い合わせ:03-3444-6751(SMASH)

オフィシャルHP先行: 1月7日(火)17:00〜1月13日(月)23:59(抽選制)
詳細はこちら

一般発売: 1月25日(土)

大阪公演:
ぴあ(P:173-026)・e+(QUATTRO web:1月18日12:00 - 1月20日18:00, pre:1月18日12:00- 1月20日18:00)・ローソン(L:56087)・LINEチケット・会場

東京公演:
ぴあ(P:172-886)・e+(pre:1月14日12:00 – 1月19日18:00)・ローソン(L:75535)・LINEチケット・岩盤 ganban.net

問合わせ:
SMASH:03-3444-6751
WEB
mobile

折坂悠太うえぶ(Official Web)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる