竹内まりや、40年輝き続ける音楽家としての普遍的な魅力 『NHK紅白歌合戦』初出場を機に考える

竹内まりや、音楽家としての普遍的な魅力

楽曲提供と再評価で広がる竹内まりやの魅力

 女性の視点で数多くの楽曲を世に送り出した80〜90年代。そのセンスが認められ、竹内は80年代から作詞・作曲家としても活動している。河合奈保子「ケンカをやめて」(1982年)や、薬師丸ひろ子「元気を出して」(1984年)、中森明菜「駅」(1986年)など、80年代の女性アイドルに数多く提供。さまざまな女性観にコミットしながら、そのイメージをさらに押し広げるような楽曲を提供して、そのアイドルの人気高騰に一役買った。

 これらは、のちにセルフカバーアルバム『REQUEST』(1987年)に収録され、竹内のバージョンで、今に知られるようになった曲も多い。今年リリースされた、竹内まりや 40th Anniversaryモア・ベスト&レアリティーズ&カバーズ『Turntable』のDisc2にもセルフカバーが多く収録され、伝説のアイドル岡田有希子に提供したデビュー曲「ファースト・デイト」(1984年)を含む3曲が初CD化音源として収録されたことも話題になった。また同作には、現在女優として活躍する広末涼子が17歳の時に歌ったデビュー曲「MajiでKoiする5秒前」(1997年)も収録されている。さらに近年は女性に限らず、嵐の「復活LOVE」(2016年)の作詞を手がけ、声優・早見沙織「夢の果てまで」(2017年)の作詞作曲を手がけるなど、近年も作詞作曲家として活躍の場を広げている。

 2000年代以降は、前述の「いのちの歌」をはじめ、恋愛に限らない、家族愛などの深い愛情や友情、人生を応援する歌を数多く発表している。例えば「チャンスの前髪」(2007年)は、弾けたサウンドのポップな楽曲で、女性同士の友情をテーマにしたことから、同世代の歌手である原由子(サザンオールスターズ)がゲストボーカルで参加。「縁の糸」(2008年)は、人と人の絆や愛、運命の相手は必ずいると歌った。美しいハーモニーのコーラスと三連のリズムが実に心地良い、ポップかつロマンティックな楽曲として知られる。昨年は、映画『あいあい傘』の主題歌「小さな願い」をリリース。この曲では、大切な人への想いや家族愛をシンプルに歌い、映画と共に感動を呼んだ。

 40年という長い活動の中で自身の年齢と共に変化しながらも、幅広いリスナーがシンパシーを寄せることが出来るメッセージ。山下達郎をはじめとした名うてのミュージシャンが手がけてきた、最先端のサウンド。いつ聴いても普遍的で時代を越えた新しさがあるところに、竹内まりやの音楽の魅力はあるのかもしれない。それにいち早く気づき、スポットを当てたのが海外のDJやクリエーターで、昨今の「プラスティック・ラブ」の再評価も、その証明の一つと言えるだろう。デビューから40年、時代を経ても色褪せない竹内まりやの魅力に、今注目が集まっている。

■榑林史章
「THE BEST☆HIT」を経て音楽ライターに。オールジャンルに対応し、インタビュー本数は延べ4,000本。現在は日本工学院で講師も務める。

■リリース情報
『いのちの歌(スペシャル・エディション)』

<完全生産限定盤>
[Disc1:CD]
1. いのちの歌
2. 輝く女性(ひと)よ!
3. いのちの歌(ピアノ&ボーカル・バージョン)
4. いのちの歌(オリジナル・カラオケ)
5. 輝く女性(ひと)よ!(オリジナル・カラオケ)

[Disc2:DVD]
人生の扉(souvenir the movie~Mariya Takeuchi  Theater Live~より)

※「いのちの歌」ピアノ譜 封入
※既発売商品「いのちの歌」初回限定盤(WPCL-11024) にDVDを付属した商品です。
CD収録内容とピアノ譜は既発売商品と同じです。

40周年記念アルバム モア・ベスト & レアリティーズ & カバーズ
『Turntable』
発売中
3枚組 全62曲収録
価格:¥4,000(+税)

■ライブ情報
『LIVE Turntable』
東京:2020年4月18日(土) @Zepp Tokyo
大阪:2020年4月24日(金))@Zepp Namba 
※本イベントの応募は終了しています。

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