Hikaru//、H-el-ical//として踏み出した新たな一歩 Kalafinaの10年が育んだ圧巻の歌声を聞いた

Hikaru//、H-el-ical//として踏み出した一歩

 ツインギター、ベース、キーボード、バイオリン、ドラムからなるサポートバンドのメンバー紹介後のライブ後半戦は、Hikaru//自身のパーソナリティが垣間見えるセットリストでスタートする。毎シーズン30本前後の作品を視聴する無類のアニメファンだという彼女は、バンドメンバーとともにDEAN FUJIOKA「History Maker」、茅原実里「Paradise Lost」、高橋瞳「青空のナミダ」とお気に入りのアニメソングをカバーしてオーディエンスを大いに盛り上げると、続く未発表のハードロックチューン「Existence」ののちにも客席が沸き立つサプライズを用意。来年2020年放送予定のアニメ『グレイプニル』のテーマソングを引っ提げてメジャーデビューすることを発表して、ホール中に響かんばかりの歓声と拍手を集めていた。

 これに「これからもなにかを掴めるようにもがいていきたいと思います」と応えたHikaru//は、H-el-ical//として初めて発表した楽曲「pulsation」をパフォーマンス。スケール感あふれるロックサウンドに乗せて〈どんな時も諦めたりしない〉〈自分で決めたことから 目を背けない it's my way〉と高らかに歌い上げてライブ本編を締めくくった。

 アンコール1曲目、映画『グレイテスト・ショーマン』の劇中でキアラ・セトルが歌った「This Is Me」を英詞でカバーして、またもその歌声の確かさを確認させてくれたHikaru//は「目の前にみなさんがいてくださって本当に幸せです」とひと言。その言葉を引き継ぐように〈君がいるから ここにいられる〉〈君がいるから 幸せになる〉と歌う、ウェルメイドなポップチューン「紡 - TSUMUGU -」を披露して、巻き起こるスタンディングオベーションの中、ステージをあとにした。

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 H-el-ical//でHikaru//が作り上げるサウンドのデザインは、Kalafina当時のものとは大きく異なる。しかし彼女は今回のライブ『紡 -TSUMUGU-』において、その構成、演出、そしてなにより自らの声によって、KalafinaからH-el-ical//へと繋がる自身の音楽の物語の糸を紡ぎだし、その糸をメジャーシーンでの活躍という未来へと繋いでみせていた。また彼女は公演中、数度にわたって「ライブはみなさんと対話する場所」「みなさんと会話できてうれしい」と語っていたが、その結果は終演後のスタンディングオベーションのとおり、彼女が紡いだ“H-el-ical//の音楽”という言葉は確かに客席へと届いていた。

(取材・文=成松哲)

<セットリスト>
H-el-ical// LIVE 2019「紡 -TSUMUGU-」
01. Amanhecer
02. Splendore
03. 粉雪(レミオロメン)
04. WINTER SONG(DREAMS COME TRUE)
05. Fili
06. Avaricia
07. yolcu
08. ARIA(Kalafina)
09. blaze(Kalafina)
10. spriter(Kalafina)
11. Histry Maker(DEAN FUJIOKA)
12. Paradise Lost(茅原実里)
13. 青空のナミダ(高橋瞳)
14. Existence
15. pulsation
<アンコール>
16. This Is Me(キアラ・セトル)
17. 紡 -TSUMUGU
※カッコ内はオリジナルアーティスト

H-el-ical//公式ホームページ

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