luz×RAHWIA×奏音69によるRoyal Scandalが人気を集める理由 1stアルバムにも感じる奥深い世界観がポイントに

 今回、リリースされたアルバムには、「チェリーハント」、「REVOLVER」、「ビーストインザビューティ」といった既存楽曲の新録バージョンや、新曲などの計13曲が収録されている。バンドサウンド、さらにはジャジーな楽器の生音が加わり、より一層、貴族的で音場が広い。アクセントの効いたロックとビッグバンドを掛け合わせた、格式高い音色が紡ぎ出されていることは白眉だ。例えば、リード曲「ロイヤルフラッシュ」では、ギター、ドラムのほか、ウッドベース、トランペット、トロンボーン、サックスなどが用いられており、ジャジーで気品の高い音楽として堪能することができる。

【MV】Royal Scandal「ロイヤルフラッシュ」/ luz-Royal Flash
Royal Scandal 1st Album 「Q&A」全曲XFD 19.12.18

 現在、第0章「チェリーハント」から、第8章「ロイヤルフラッシュ」まで公開されているミュージックビデオには、それぞれの作品を超えて、共通のアクセサリーや、仕掛人となり得る人物が登場する謎めいたシーン展開がある。これらの物語は、文字の大きさや色、記号など数々のギミックが隠された歌詞カードから、一気に伏線が回収できる。見応えがあるのは、関係性の強い楽曲同士にある対となるフレーズや、童話を仄めかすフレーズ。なかでも、〈♠スペードのリング……権力を得て愛を失う ♥ハートのネックレス……愛を得て幸福を失う/♣クラブのブローチ……幸福を得て富を失う/♦ダイヤのピアス……富を得て権力を失う〉、〈“まぁ、憐れだわ……祝(おもて)いしか視ていないなんて。王のすべてが慾(ほ)しいというなら、呪(うら)いもくれてやろう”〉(「ワンスアポンタイム」)、〈視えるものだけが、真実(すべて)じゃあない。泣かない女がイイコと誰が決めたの?……砂の上で苦しむ、彼を知らずに。〉(「ロイヤルフラッシュ」)といった歌詞は、要だ。いずれも共通しているのは、欲に溺れて大切なものを手のひらから零している、ということである。

 このようにミュージックビデオと併せて、歌詞カードを吟味することで、初めて物語の深奥に達することができるのがRoyal Scandalの生み出す世界観だ。“仮面の裏”と“仮面の表”を示す彼らが、この作品を通して伝えているのは、ひょっとするとすべての答えは、目に見えるものに限らない、そして、ひとつとも限らない、ということなのかもしれない。12月23日のZepp Fukuoka公演を皮切りにワンマンツアー『WONDER TOUR 2019 -QUEEN&ALICE-』を開催するRoyal Scandal。きっと、一層の華を添えた演出を見せてくれることだろう。

Royal Scandal WONDER TOUR 2018「ビタースウィート/Bitter&Sweet」live ver.

■小町 碧音
1991年生まれ。歌い手、邦楽ロックを得意とする音楽メインのフリーライター。高校生の頃から気になったアーティストのライブにはよく足を運んでます。『Real Sound』『BASS ON TOP』『UtaTen』などに寄稿。
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