ITZY、チョンハ、MAMAMOO……新たなガールクラッシュコンセプトに挑んだK-POPアーティスト

 2019年は6組のガールズグループによるサバイバル番組『Queendom』への出演や最年少メンバーのファサのソロデビューなど、活動の目玉が例年より多くあったように感じたMAMAMOO。以前から実力派ガールズグループとしての立ち位置を確立していたが、女性ファンが多いこともあってか、今年発売した新曲「gogobebe」や「HIP」を通して女性のアイコン的な役割を果たし、人気をさらに集めた。今年のMAMAMOOがこれまでとは違う点として、一つは楽曲が比較的クラシカルなイメージの曲からダンスミュージック的なサウンド寄りになったことだ。特に「HIP」はMAMAMOO史上最もダンスが激しく、そこに高い歌唱力が加わったパフォーマンスは、自己表現することへの説得力が増している。もう一つは、去年までの情熱的なイメージではなく、大人としてのクールさや貫禄がアピールされるようになったことだ。デビューから5年が経ち、様々な苦難を乗り越え“私らしさ”を築いたであろうMAMAMOOが、メンバー各々の自由な表現方法を通して、リスナーが“自分らしさ”を見つけることを後押ししてくれているように感じた。また、最近印象的だったのは『MMA (Melon Music Awards) 2019』でのパフォーマンスだ。僅か7分ほどの持ち時間の中で、ファサのソロ曲「TWIT」とMAMAMOOのパフォーマンスとの間に「Ain't no love in this party(このパーティ=授賞式に愛がない)」という文字がスクリーンに映し出された。これには様々な憶測が飛び交ったが、授賞式について自分たちの意見を示したと思われるMAMAMOOを支持する声はかなり多くあった。堂々としたその立ち振る舞いは、これからもさらなる影響力を持つかもしれない。

[MV] ママム(MAMAMOO) - HIP

 このように、2019年はガールクラッシュコンセプトがより多様化し、“私らしさ”を考える選択肢が明示された非常に画期的な1年だった。また、ガールクラッシュが恋愛に必ずしも結びつかないテーマであるからこそ、女性だけのものではなく人類共通に強いメッセージ性を与えることも深く理解できた。その点で、来年はさらなる進化や革命が起こるかもしれない。それだけでなく、男性アイドルが表現する“自分らしさ”も着目していきたいところだ。

■momotoxic
ブロガー。自称"楽曲派"。Twitter:@momotoxic1006

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