2010年代韓国ポピュラー音楽を代表するR&Bトラックは? 米ビルボード選定チャートからピックアップ

59. DEAN - Bonnie & Clyde (130 mood: TRBL, 2016)

Dean - Bonnie & Clyde
DEAN『130 mood: TRBL』

 DEANはデビュー当初からエリック・ベリンジャー、アンダーソン・パークなどといった実力派の海外アーティストとのコラボを果たし、高い音楽性を証明して韓国R&Bファンの間で話題となっていた。「bonnie & clyde」は彼のデビューEP『130 mood : TRBL』に3番目のトラックとして収録されている。逆順でストーリーが進んでいく仕掛けを持った同EPの中で、本トラックは非常に重要な役割を果たす。というのも、悲劇的な結末を知りながら不適切な関係を諦められず、自暴自棄の状態に陥ってしまう瞬間が描かれたトラックだからだ。シンセサイザーをベースにしたサウンドに乗せられた彼の歌声が、その感情を見事に表現している。

21. Zion.T - Yanghwa BRDG (no album, 2014)

[MV] Zion.T(자이언티) _ Yanghwa BRDG(양화대교)
Zion.T「Yanghwa BRDG」

 韓国を代表するR&Bアーティストの一人であるZion.Tは、過去10年近い活動期間で幅広い音楽性を見せてきた。「Yanghwa BRDG(ヤンファ大橋)」はそんな中で最も個人的なストーリーを込めた温かい楽曲だ。曲名の「ヤンファ大橋」とは、漢江に掛かる実在の橋のことである。本トラックにおけるヤンファ大橋は、家族のためにタクシー運転手として働いたZion.Tの父親の仕事場を象徴する存在。ストーリーはいつもヤンファ大橋を走る父親と電話をしていた幼い頃の思い出から始まり、大人になって同じ橋を走る自分自身の姿につながっていく。彼は、その成長の間で感じた家族の大切さを素直に歌で紡いでいる。そのような感動的な歌詞と音楽性は全世代から共感を呼び、国民的な人気を集めた。

RealSound_ReleaseCuration@soulitude

■soulitude
日韓の大衆音楽事情を専門とするライター。歌詞・記事の翻訳や音源の流通、キュレーションなどの職業を経て、今は日韓の音楽シーンの架け橋となるべく活動中。
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