BEYOOOOONDSは令和を映す鏡となるか 1stアルバムを構成する3つの要素とともに解説

 さて。このBEYOOOOONDSがいま、デビューする意味とは何だろうか。

 平成が終わり、令和という新しい時代がはじまった2019年。時代の変わり目に彼女たちはデビューした。平成を振り返った時、やはりモーニング娘。の登場は大きかったように思う。社会現象にまでなった「LOVEマシーン」には、平成初頭〜90年代末のどんよりとした閉塞感を吹き飛ばすパワーがあった。そのモー娘。擁するハロー!プロジェクトの末裔であるBEYOOOOONDS。きっとこの先、10年〜20年経った後に、令和元年の人びとがどんな空気の中で生きていたか探る上で、ひとつこのアルバムは相応しい指標となるだろう。

 「アイドルは時代を映す鏡」だとよく言われている。我々はアイドルに夢や希望を託したくなる。新時代の幕開けを告げるこのアルバムには、時に”母国”を歌い、時に”故きを温ねて”、時に”演技”をしながら、グループの伝統を受け継いでいる彼女たちの姿がある。アルバムは、ゴスペル風の「伸びしろ〜Beyond the World〜」で未来を祈りながら静かに幕が閉じられる。その祈りは、どこか広々とした、もっと大きなものへと向けられているようで、思わずアツくなった。

■荻原 梓
88年生まれ。都内でCDを売りながら『クイック・ジャパン』などに記事を寄稿。
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Twitter(@az_ogi)

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