ずとまよ ACAね、ロザリーナ、AAAMYYY、眉村ちあき、花譜……異なるアプローチで頭角表した女性アーティスト

AAAMYYY

AAAMYYY『BODY』

 カナダ留学を経て、2017年から活動をスタートさせたAAAMYYY(エイミー)は、ヒップホップ、R&B、ポップス、ロックなどのジャンルを超え、個性的なアーティストとのつながりのなかで作品を生み出し続けているシンガーソングライター/トラックメイカーだ。

 2018年6月からTempalayに正式加入、ヒップホップクルー・KANDYTOWNの呂布のゲストボーカル、TENDRE(河原太朗のソロプロジェクト)のサポート、DAOKOへの楽曲提供など幅広い活動で注目を集めた彼女は、今年2月に待望の1stアルバム『BODY』を発表。「愛のため」をはじめ、儚くて美しいディストピアを想起させるサウンドスケープ、憂いと心地よさを同居させたボーカルによって高い評価を得た。

AAAMYYY「愛のため」

 さらに映画『HELLO WORLD』の音楽制作を手がけた「2027Sound」(OKAMOTO'Sを中心に結成された音楽集団プロジェクト)に参加。11月13日にはMONJOE(DATS)のコラボレーション楽曲「DAYZ」を配信リリースした。軽快なギターカッティング、心地よいファンクネスをたたえたトラック、しなやかに揺れるフロウがひとつになったこの曲は、現在のポップシーンの新たな潮流を感じさせるナンバー。クリエイター/アーティストとの化学反応によって進化を続けているAAAMYYYは、来年以降もポップカルチャーのなかで強い存在感を発揮するはずだ。

眉村ちあき

眉村ちあき『めじゃめじゃもんじゃ』

 “弾き語りトラックメイカーアイドル”を掲げる眉村ちあきは、あらゆる意味で規格外のアーティストだ。2016年から“眉村ちあき”としての活動をスタートさせた彼女は、ダンスミュージック、フォーク、ロックなどを独自のセンスで混ぜ合わせた楽曲、ユニークすぎる視点とエモーショナルな感情表現を併せ持った歌、そして、一人だけで行われる奇天烈にしてエンターテインメント性に富んだステージによって、異色のアイドル(もしくはシンガーソングライター)として徐々に注目度をアップ。バラエティ番組『ゴッドタン』(テレビ東京系)で披露した即興ソングが話題となり、現在は子供向け視聴者参加バラエティ番組『ビットワールド』(NHK Eテレ)にもレギュラー出演中だ。

 2019年5月にはアルバム『めじゃめじゃもんじゃ』でメジャーデビュー。洗練されたメロディとノイジーなギターが融合したポップチューン「ピッコロ虫」、彼女自身の日常を綴りながら、いつの間にか“何があっても、あなたたちはみんな素晴らしい”という真摯なメッセージへとつながる名曲「大丈夫」を含む本作は、彼女の規格外の才能をさらに幅広い層のリスナーに伝えたはず。キャラクターのおもしろさで注目を集めているが、眉村ちあきの本質は優れたポップスクリエイターなのだと思う。2020年1月8日にリリースされる2ndアルバム『劇団オギャリズム』も要注目だ。

眉村ちあき/ピッコロ虫

花譜

 最後に紹介するのは、花譜。現在15歳のバーチャルシンガーだ。2018年10月に自身のYouTubeチャンネルに「#01」を投稿。同年12月6日にボカロPのカンザキイオリによるオリジナル楽曲「糸」を公開し、本格的な活動をスタートさせた。儚さと凛とした強さを併せ持った歌声によってネットを中心に話題を集めた彼女は、今年2月に高校受験のために一時活動を休止。3月に活動を再開し、「夜が降り止む前に」が映画『ホットギミック ガールミーツボーイ』の主題歌に抜擢されるなど、活動の幅を拡大してきた。

花譜 #25 「夜が降り止む前に」 【オリジナルMV】

 8月1日に恵比寿LIQUIDROOMで開催されたファーストライブ『不可解』は、映画館でのライブビューイング、YouTube Liveでの生中継も行われ、Twitterのトレンドでは実況タグ「#花譜不可解」が世界1位にまで上昇。1stアルバム『観測』もヒットし、ネットシーンのみならず、幅広い音楽リスナーに認知された。現在増加中のバーチャルシンガーのなかでも、繊細な表現力を備えた歌声は際立っている。来年以降、その存在は音楽シーン全体に浸透することになりそうだ。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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