Machicoが語る、”初めての経験”をたくさんした激動の1年間 アニメ主役や東京ドームのステージで開いた新たな扉

Machicoが振り返る、激動の1年

「Lunar eclipse」が私の中で「姫の闇落ち」の曲

ーーでは、ここからはアルバムの楽曲のお話を収録順に、RPG風のストーリーを追いながら伺います。まず1曲目はTVアニメ『りゅうおうのおしごと!』のOPテーマに使用されたシングル曲「コレカラ」。これから冒険に旅立つ雰囲気があります。

Machico:まさにです! 「コレカラ」はこれからいろんなことが始まっていくワクワク感があるので、やっぱり1曲目しかないと思って置きました。歌詞にも〈伝説がついに動き出す明日へ〉とか、意外と冒険に当てはめられるものがたくさんあって。

ーー2曲目はゴリゴリのロックサウンドで攻める新曲「Zeal」。この曲は先ほどお話にあがった睦月周平さんが作編曲されていることもあり、個人的にはMachicoさんが『キラキラ☆プリキュアアラモード』の岬あやね役で歌ったキャラソン「Soul Believer」を思い出しました。

Machico:私も「Soul Believer」はすごく好きな曲調だし、『アイマス』でも「深層マーメイド」(伊吹翼×我那覇響の楽曲)を睦月さんが作ってくださって、ゴリゴリのロックのなかでも自分の声質に合うサウンドを作る方という印象があったので、ぜひ睦月さんにと思いまして。この曲は騎士が戦っている情景をイメージしていて、睦月さんにはロックな曲調とみんなが声を出せるパートがほしいというリクエストをしました。ライブではみんなが騎士の戦う力になる声援を送ってくれるとうれしいです!

ーーやはり歌うときは騎士をイメージしたのですか?

Machico:そうですね。この曲は自分のリミッターを外すことがいちばんのテーマでした。高音を出すところでは、声が枯れても裏返ってもいいから全力で一音にブチあてる! という感じで歌ったので、レコーディングのときは雄たけびを上げるように目をつぶりながら歌っていた気がします(笑)。

ーー3曲目の「Million Smile」はPS4/PS Vita向けゲーム『この素晴らしい世界に祝福を!-この欲深いゲームに審判を!-』のOPテーマで、『このすば』曲らしい爽快なアップチューンです。

Machico:これは「騎士と姫の二人が出会ってよかった! ランランラン!」っていう曲です(笑)。今まで接点のなかった二人が何かのきっかけで出会って、お互いの環境は違うけど、話していくうちにわかりあえる友達に巡り合えて、世界はにこやかだね、っていうイメージで置きました。

ーー次の「またあした」はPS4/PS Vita向けゲーム『この素晴らしい世界に祝福を! 〜希望の迷宮と集いし冒険者たち〜』のEDテーマですが、夕暮れの景色が浮かぶあたたかくも切ない曲調で、終わりっぽくもありますが。

Machico:この曲はどこに置いても終わりっぽくなるなるので、置き場所はめちゃくちゃ考えました。ただ、アルバムを締めくくる感じの終わりでもないので、ストーリー的には、騎士と姫の二人が出会った後に「明日からもよろしくね!」という感じで楽しい一日が終わった、という立ち位置の曲にしました。歌詞にも〈…あした何して遊ぼうかな?〉とあるので、これからの楽しい日々を想像しながらいい夢を見る曲ですね。

ーー続く新曲「きっとショコラ」は電ポルPことkoyoriさんが作詞・作曲した、〈あなた〉のためにショコラ作りをする女の子の心情を描いたかわいらしいナンバーです。

Machico:次の曲の「Lunar eclipse」が私の中で「姫の闇落ち」をイメージした曲なので(笑)、これはその前に姫のちょっと不安な気持ちを描くことで闇落ちの前兆を感じさせるような曲です。曲的には恋するかわいい感じもありますけど、自分の気持ちを出せないもやもやしてるところがあって、これから闇落ちする姫のかわいいところも出せたと思います。私、この曲がすっごく好きなんですよ。

ーー歌声には切なくも甘い雰囲気があって、すごくいじらしい雰囲気の曲ですね。

Machico:この曲はあまり力を入れずに歌うよう、ディレクターさんと話し合いながら組み立てていきました。歌詞もセリフみたいな感じなので、そういう意味では演技構成を考えるのと同じように向き合えましたし、今まではいかにパーンと声が通るかを意識しながら歌うことが多かったので、自分としてもこういう歌い方ができることは新発見でした。この曲は両想いでも片思いでも成立する内容になっているので……JKに聴いてほしいな(笑)。TikTokノリがすごく良さそうなので、バズってほしい! 

ーーたしかにTikTok映えしそう(笑)。そして「姫の闇落ち曲」こと「Lunar eclipse」は、分島花音さんが作詞・作曲されたゴシック調の妖しくもメルヘンチックな楽曲になりました。

Machico:いい意味で艶めかしくて、ちょっと不気味なところも覗く曲で、歌詞がついてないデモ状態の音源をいただいたときから、めっちゃ好みの曲! と思いました。私自身この曲を聴いた瞬間に月が頭に浮かんだし、実家で飼っているワンちゃんの名前がルナというので、この曲の歌詞にはどこかに「ルナ」の要素を入れてほしいなと思ったんですけど、それを分島さんにお伝えする前に届いた歌詞を見たら、題名からして「Lunar eclipse」だったので「え〜っ!」と思って(笑)。

ーー歌もどこかルナティックで妖しげな感じがあります。

Machico:この曲は譜面通りにピッチを合わせて歌ったら雰囲気が出ないと思ったので、音を伸ばす長短を自分で決めて、そのときの自分の感情に合わせてワンコーラスずつ何回も録って、そのなかから一番よいものを採用する方法をとりました。レコーディングのときも照明を出来る限り消して、暗闇っぽく雰囲気づくりをして。あとは渾身のラップ! 私が歌うなら色っぽさを出すよりも少女のお姫さまをイメージしたほうが不気味さが出ると思ったので、ラップのところも少女っぽく、吐息が多めでか細く歌うことを意識しました。

イントロで血しぶきがブチ上がるようなものを想像していた

ーーそこから一転、7曲目の「ギミー・ラブ」はストレートなロックンロール。

Machico:この曲は、闇落ちした姫に対して騎士が戸惑うことなく真っ直ぐぶつかっていく、「自分は君のこと好きだよ!もっと教えてよ!」という真っ直ぐさを表現してます。姫に手を差し伸べるような立ち位置の曲ですね。

ーーなるほど。既存曲もストーリーに合わせてうまく配置していますね。では次のシングル曲「1ミリ Symphony」は?

Machico:「ギミー・ラブ」で騎士から受け取った愛によって姫も立ち直りつつあるなか、いろんなことがあるけど、これからどんなことがあっても進んでいこう! という曲になります。ふたりの関係がより強いものになって、穏やかな時間を迎えたイメージです。

ーーそこから『この素晴らしい世界に祝福を! 〜希望の迷宮と集いし冒険者たち〜』のOPテーマ「STAND UP!」で二人は立ち上がるわけですね。

Machico:そうです。これはボス戦に向けての加速、不安に打ち勝つために力を合わせていくしかないよ! っていう気持ちをイメージしてます。

ーーということは、続くアルバムのリードトラックでもある新曲「Everlasting Glory」は、ラスボス戦をイメージした楽曲でしょうか。

Machico:この曲は「1ミリ Symphony」と同じ多保(孝一)さんが作ってくださって、私自身がマイナーコードの曲が好きなのと、アルバムのリード曲を作るにあたって今までの爽やか系とはガラッと変えた強いインパクトを持った曲を歌いたかったので、その2点を私からリクエストさせていただきました。最初はイントロで血しぶきがブチ上がるようなものを想像していたんですけど(笑)、多保さんは洋楽チックな曲調で表現してくださって、私もすぐにお気に入りになって。ただ、この曲はとにかく難しくて、特にサビのメロディの変化がすごいんですよ。すごく高音なので、声を全力で出したら裏返りやすかったり、あてたい音にあたらなかったりして。レコーディング当日も不安を抱えながら行ったんですけど、それが逆に必至感に繋がったり、歌詞的にも葛藤や不安に打ち勝っていく曲なので、結果的に命を削る系のボス曲にピッタリの曲になりました。

Machico / Everlasting Glory

ーーこの曲のMVには「騎士Machico」と「姫Machico」の両方が登場しますね。

Machico:今までのMVは青空の似合うようなロケーションが多かったんですけど、今回は植物や生命の存在を感じさせない廃墟のような場所で撮影しまして、二人の心の叫びを表すような映像にしていただきました。衣装はどちらもお気に入りで、MVをYouTubeに公開したときにファンの人に、騎士と姫のどっち派かを聞いたんですよ。でも、今のところ姫派を見た記憶がないぐらい騎士派の方ばかりで(笑)。だから私は姫派を探す旅に出なくちゃと思っています。

ーーいきなり新しい冒険が始まりました(笑)。

Machico:いや、この事態はおかしいんですよ! 普通は女性声優がいわゆる男装と姫の恰好をしたら絶対に姫派が多いはずじゃないですか。なのに「こんなにいないの?」と思うぐらい姫派がいなくて(笑)。MVの撮影では、姫は育ちがいいだろうから姿勢にも重きを置いて、気持ち的にはピーチ姫みたいな感じで動いたので(笑)、見てもらえるとうれしいです。

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