魔法少女になり隊、誰しもをバンドの世界へ引き込む求心力 最新ツアー初日公演を見た

魔法少女になり隊、最新ツアー初日公演レポ

 そんなセンチメンタルな気持ちを塗り変えるようなアッパーなエレクトロポップ/EDMナンバー「まぶたの裏のLEDライト」は、音源よりぐっと派手なシンセサウンドとクランチなギター、タイトな4つ打ちでフロアはジャンプしっぱなし。これまでもましょ隊にはPerfume的な踊れるエレクトロ要素と、存分に暴れられるまるでマキシマム ザ ホルモン的なラウド要素両方のキャッチーさを1曲にハイブリッドする手腕を見せてきたわけだが、この曲はエレクトロポップとしてかなり洗練されている。もっといえば、ギミックより素のメロディの良さに驚いた。メロディや曲の良さ、ウイ以外のメンバー各々の歌詞の世界観。それが広く浸透して、曲ごとにファンのリアクションを自然に変えていく。ステージ上とフロアのエネルギーの循環は、今のましょ隊が求めているハッピーな空間だったに違いない。

 また、gariのデスボイスが際立つエクストリームな「Zombies bop」はウイと明治のツインギターの絡みもスリリング。爆発を思わせる映像もぐっとレベルアップした印象。メロコアテイストな「コースター」でのバジルの明快なボーカルと、『POPCONE』収録曲の音楽的なレンジの振り幅や、完成度の高さが既発の代表曲の中で存在感を放っていたのだ。ポップだけど尖っていて、ライブを見た誰しもをワクワクする世界に連れていく力――ましょ隊が結成当初から掲げていたテーマはそのままにアップデートされた楽曲群。そう聴こえるのは彼ら自身の成長もあるし、ラウド×エレクトロポップという組み合わせに違和を感じないほど、時代が変化したとも言える。

 ちなみにおなじみカバーコーナーもあり、アンコールの1曲目は各会場ごとに日替わり選曲がなされるようだ。この日のアンコールではメジャー1stシングルから「MEGA DASH」。結成当初からのファンも、今回初めて見る人もやりきった感を携えてライブハウスを後にできるはずだ。

(写真=Yusuke Sato)

■石角友香
フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Qetic」「SPiCE」「Skream!」「PMC」などで執筆。音楽以外にカルチャー系やライフスタイル系の取材・執筆も行う。

■ツアー情報
『ワンマンツアー2019 "まほうランドへようこそ!"〜ガリ館長と不思議な遊園地〜』
10月27日(日) 東京 WWW X 17:00/18:00
11月3日(日)石川 金沢AZ 17:00/18:00
11月10日(日)福岡 BEAT STATION 17:00/18:00
11月29日(金) 愛知 Electric Lady Land 18:00/19:00
12月7日(土) 大阪 BIG CAT 17:00/18:00
<チケット>
¥3,400(税込)/入場時別途ドリンク代/3歳以上有料

魔法少女になり隊 公式サイト

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「ライブ評」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる