どついたれ本舗、ずとまよ、崎山蒼志、るぅと……ネット中心に支持拡大するポップミュージック

崎山蒼志『並む踊り』

 2018年5月にAbemaTV『バラエティ開拓バラエティ 日村がゆく』の高校生フォークソングGPに出演したことをきっかけに凄まじい注目を集めた2002年生まれのシンガーソングライター、崎山蒼志の2ndアルバム『並む踊り』。美しいノイズと官能的なサイケデリアが溶け合う「潜水 (with 君島大空)」、現代音楽経由のエレクトロニカと称すべきトラックのなかで、シャープな言語感覚をたっぷり宿した歌が炸裂する「感丘 (with 長谷川白紙)」という2曲のコラボ曲を含む本作は、崎山の普遍性とオルタナティブな感覚がしっかりと共存している。ギターと歌だけで濃密なグルーヴと壮大なスケール感を描き出す「踊り」、緻密にして奔放なビート、フィールドレコーディングの素材などを組み合わせた「Video of Travel」など、ポップミュージックの芸術的可能性を追求した楽曲も。どんなに斬新なアレンジを施しても、決して埋もれることのない歌の存在感も強く心に残る。

崎山蒼志「潜水 (with 君島大空)」(MV)
るぅと『君と僕の秘密基地』(通常盤)

 今年9月に初のドーム公演(埼玉・メットライフドーム)を開催した動画配信エンタメユニット・すとぷりのるぅとによる1stソロアルバム『君と僕の秘密基地』。日々を頑張って生きているリスナーに向けたメッセージソング「君はいつも100点満点!」、“学校行きたくないよー!”“ダメだよ、行かないと!”という冒頭が印象的なすとぷりの莉犬と一緒に歌った「行け!僕らのスクールフロント!」、エッジの効いたギターサウンドを軸にしたロックチューン「justified」などを収録。グループの楽曲でも作詞・作曲・編曲・レコーディングなどを手がけるクリエイターとしての資質、そして、甘くてポップな声のなかに力強い意思を感じさせるボーカルなど、ソロアーティストとしての魅力を示した作品だ。

【XFD】君と僕の秘密基地/るぅと【アルバム試聴動画】

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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