チャーリー・プース、連続リリースで新たなモードに突入 繊細さや深みが引き立てる魅力

チャーリー・プース、新たなモードに突入

「マザー」

 9月13日には第2弾シングル「マザー」を発表。「アイ・ウォーンド・マイセルフ」と同様、ベースラインとボーカルから始まるこの曲は、心地よいファンクネスをたたえたミディアムチューン。ベース、ボーカル、コーラスを中心に置きながら、軽快なギターカッティング、華やかなビートとともに少しずつ高揚感を増していく構成が見事だ。軸になっているのはもちろん、チャーリーのメロディセンスとボーカル。決して派手さはないものの、何度も味わいたくなる深みを持った旋律、そして、繊細な表現力とシルキーな手触りを共存させた歌声は、やはり唯一無二だ。

Charlie Puth - Mother [Official Video]

 リリックのテーマは、思春期のかなりビターな恋愛模様。「彼女の親の前では“いい子”にしている彼氏」の目線から描くことで、単なるラブソングではない、深みのある表現に導いている。ティーンエイジャーのファンはもちろん、大人のリスナーも魅了する楽曲と言えるだろう。

「チーティング・オン・ユー」

 さらに10月2日には、3曲目の新曲「チーティング・オン・ユー」が到着。MVの冒頭に〈This song is not about a person,It’s about a feeling I’ve never had(=この曲は特定の人のことではなくて、僕がこれまでに感じたことのないフィーリングについて)〉と記されるこの曲は、繊細なシンセのフレーズから始まるミディアムチューン。しなやかにバウンスするトラックとともに、滑らかなボーカルが心地よく響く。二度と感じることができない、“君”とキスしたときのフィーリングを描いたリリックを含め、切なさと美しさに溢れた楽曲に仕上がっている。特に2分30秒あたりのロングトーンは絶品だ。

Charlie Puth - Cheating on You [Official Video]

 ベニー・ブランコ(Maroon5、ケイティ・ペリー、エド・シーランなどの楽曲を手がけるプロデューサー)とともに作り上げた「アイ・ウォーンド・マイセルフ」「マザー」「チーティング・オン・ユー」は、チャーリーの音楽が新たなフェーズに突入したことを明確に告げている。徹底的に音数を抑え、セクシーかつエモーショナルなボーカルを押し出したこれらの楽曲によって、ソングライター/シンガーとしての彼の魅力はさらに増幅するはず。来るべき3rdアルバムにも大いに期待したい。

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

 

■リリース情報
「アイ・ウォーンド・マイセルフ」
2019年8月21日配信
配信先はこちら

「マザー」
2019年9月12日配信
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「チーティング・オン・ユー」
2019年10月2日配信
配信先はこちら

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