香取慎吾「10%」が増税と共に突如配信された意図は? 謎が多い歌詞と歌手としての魅力を考察

 香取は、日本初個展となる『サントリー オールフリーpresents BOUM! BOUM! BOUM!(ブン!ブン!ブン!)香取慎吾NIPPON初個展』で、展示された作品のひとつに「数字が好きだ」という言葉を添えていた。言葉にならない考えや想いを、数字が持つ意味を考えることでメッセージにしていく。そんな香取の美学を、彼の作品を見ていれば感じることができる。

 今回リリースされた「10%」のクレジットには「Shingo」の表記もあり、詞の部分にも携わっているようだ。今日という日が「生活がこれから厳しくなる日」ではなく、「香取の新たな活動が始まった日」に塗り替えようとしてくれたのかもしれない。そんなふうに日々を明るく照らそうとする香取慎吾は、つくづく太陽のような人だ。

 それは、私たちがこれまで見届けてきた「みんなのしんごちゃん」というシンボリックで温かな存在という意味でもそうだ。そして近年、その才能を開花した「アーティスト香取慎吾」は、常に爆発を繰り返し、ときには本人も驚くような太陽フレアを描く情熱的な存在としても。さらに、今回新たに私たちに見せてくれた「シンガー香取慎吾」は、その中間のような存在。ニコニコと優しい印象を醸し出しながら、私たちの生活をシビアに照らし出していく。

 いつだって明るくて、楽しい存在だとみんなが認知してきた香取慎吾。その中には、燃えたぎるエネルギーと、それを冷静に見つめる現実的な目が共存している。私たちはまだ香取慎吾の持つ可能性の10%しか知らないのかもしれない。そんな「10%」なら大歓迎だ。

(文=佐藤結衣)

■リリース情報
香取慎吾「10%」
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