サポートミュージシャンが広げる可能性:今、須藤優と堀正輝が音楽シーンに求められる理由

 ここで挙げた名前から浮かび上がるのは、デジタルネイティブ世代の多くがDTMでトラックを作り、ライブでは同期を用いて生演奏をするのが主流になったことと、既成のバンド形態にこだわらず、自由なスタイルで活動するアーティストが増えたということ。だからこそ、堀のように打ち込みと生演奏それぞれの良さを熟知し、これまでも様々な編成でプレイしてきたドラマーにスポットが当たっているのである。

 「クラフトヒップホップ」を提唱するMomのバンドセットでは、堀とともにShin Sakiuraがギターで参加していて、彼は80KIDZやSCAM CIRCLEと同じレーベル<PARK>から作品をリリースしている人物。現在はSIRUPのサポートをしているほか、向井太一やRude-αらの楽曲にも参加していて、彼の活躍からも時代感が伝わってくる。

 須藤と堀は、現在ARDBECKとしての表立った活動はしていないが、Shingo Suzuki、mabanua、関口シンゴの3人がそれぞれサポート/プロデュースを中心とした活動を経て、またOvallとして自らのペースで動き出したように、時代が巡り、いずれまたARDBECKとしての活動を再開させる日が来ることを期待したい。

■金子厚武
1979年生まれ。埼玉県熊谷市出身。インディーズのバンド活動、音楽出版社への勤務を経て、現在はフリーランスのライター。音楽を中心に、インタヴューやライティングを手がける。主な執筆媒体は『CINRA』『ナタリー』『Real Sound』『MUSICA』『ミュージック・マガジン』『bounce』など。『ポストロック・ディスク・ガイド』(シンコーミュージック)監修。

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