NEWSは波乱万丈の15年を楽曲とともに乗り越えてきた ライブ映像作品から感じたこと

 彼らのインタビューでも語られるように、NEWSの歩みは進んでは、ぶつかっての繰り返しだった。華々しくデビューしたかと思いきや、ジャニーズJr.として共に活動する時間が少なかったため、なかなか打ち解けられない時期もあった。実力も人気もバラバラの9人。人数の多さも、一人ひとりの魅力も、どう活かしていいのか模索していくうちに、メンバーの脱退が相次いだ。それでも懸命に4人で歩み出したと思ったら、まさかの活動自粛にファンも肩を落とした時期もあった。

 何度もつまづき、そのたびに立ち上がる。それは4人だけではなく、誰の人生にだって起こること。生きていれば思い通りにいかないことのほうが多いし、チャンスは平等ではないし、気の緩みからうっかり積み上げてきたものを壊してしまうこともある。自分が情けなくて、立ちすくんでしまいそうなとき、私たちは音楽の力を味方に立ち上がり、再び歩み出すのだ。

 NEWSは、それを自らの楽曲でやってきた。グループの危機があるたびに、自らを奮い立たせる気持ちとリンクした楽曲をリリースしてきたのだ。悔しい時期を乗り越えた彼ら自身が歌うからこそ、その歌は特別なものになる。NEWSのライブでは、ファンの歌声がよく聞こえるのも、きっとファンも彼らと一緒に歌って乗り越えてきたからだろう。

 「15周年だけど、ゼロになって」とは、加藤シゲアキがライブの終盤に語った決意。波乱万丈だった15年の軌跡を経て、これほど仲睦まじく笑い合える4人で活動できている奇跡を噛み締めながら、NEWSはまた歩んでいく。メンバー、ファン、スタッフという仲間の絆を道しるべに。

(文=佐藤結衣)

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