0.1gの誤算が明かす、バンドとしての決意と軸「外の人たちに知ってもらわないとデカくならない」

0.1gの誤算、バンドとしての決意

「歌える/歌えないとかは考えてない」(緑川裕宇)

ーー9月10日にリリースされるシングル『絶望メンブレガール』のお話もお聞きしたいです。この曲は「有害メンヘラドール」「溺愛ヤンデレボーイ」に続くシリーズ第3弾で。このシリーズは、曲の出だしはすごくポップでキラキラとした雰囲気だけど、途中からダークかつハードになっていき、目まぐるしく展開していく中で、最後にまた出だしに戻るという構成になっていて、「絶望メンブレガール」もその流れを踏襲していますよね。その縛りがある上で曲を作るのは大変だと思うんですが。

0.1gの誤算/絶望メンブレガール(MV Full)

緑川裕宇:もう作んないっす、このシリーズ。

一同:(爆笑)。

緑川裕宇:もう本当に大変だった……。その縛りで作る苦労もあるけど、同時に、これが当たらなかったら嫌だなと思って。

ーーこのシリーズはバンドの代表作だからこそ、プレッシャーが大きかったと。

緑川裕宇:そうです。歌詞も一回書き直したんですよ。納得のいくものが書けなかったから、レコーディング日を2週間ぐらいずらして、全部書き直して。それでもやっぱり不安で、本当に大丈夫かなと思ってたんですけど、MVを公開したら、1日で2万(回再生)ぐらい?

神崎流空:2万は超えてた。初めてですね。1日でこれまで再生されたのは。

ーー誤算の曲は、1曲に対する情報量が多いですよね。5人の音だけじゃなくて打ち込みもがっちり入っているし、転調やセクションチェンジも多くて、BPMも速い。その辺りはボーカロイド以降の流れを汲んでいるイメージがありますけど、メインコンポーザーの緑川さんとしては、楽曲を作るときにどんなことを意識していますか?

緑川裕宇:イメージ的には、それこそボカロの曲を作っている感じというか。普通のバンドであれば、これだとライブで歌えないからメロディを詰めすぎないようにしようみたいなのがあると思うんですけど、歌える/歌えないとかは考えてないんですよ。歌えなくていいと思ってるんで(笑)。だけどそのぶん、ライブはしっかり踊ったりしようって。

(写真=池村隆司)

ーーライブでの再現性は置いておいて、まず自分がいいと思うものを音源にしようと。

神崎流空:まあ、楽器隊は(ライブで)再現させられてるんですけどね。

緑川裕宇:みんな再現したがるんですよ。俺はそんなに弾かなくてもいいよって言ってるのに。

水田魔梨:だって目立つフレーズばっかり入れてくるから。

眞崎大輔:でも、やっぱりドラムが一番大変だよね?

神崎流空:うん、かわいそう。

一同:(笑)。

河村友雪

神崎流空:最初はこのヤロウ……! って思ってたけど、あれを叩いているおかげで、関係者とか後輩に「うまい」と言われるようになったから、まあこれはこれでよかったかなって。

河村友雪:曲はどんどん難しくなってきてるし、人間技じゃないものも入ってるんですよ。作るときにピアノで打ち込んでるから、ギターで弾こうと思うと指があと3本ないと無理、とか。ライブのときは、そういうものは自分なりに簡略化するんですけど、意地でも弾こうとはするんです。これはバトルなんで(笑)。

ーーコンポーザーとプレイヤーの。

河村友雪:うん。お互い高め合っていかないと。

ーー緑川さんは、元々ご自身の作る曲が情報量の多いものだったところもあるんですか?

緑川裕宇:いや、昔はああいう曲は全然作ってなかったです。それこそボカロを何年か前に聴いたときに、これいいなと思って。そこからですね。あと、自分のはちゃめちゃな性格を曲で表すと、ああいう感じになっちゃうところもあります。

ーーその中で、カップリングの「ライラックアイロニー」はメロディをしっかり立たせていて、誤算のパブリックイメージとは、ある種真逆な印象もありますけど。

緑川裕宇:本当はどちらかというと、こういう曲側の人間なんですよ(笑)。90年代を愛する男なので。こういう曲はめったに作らないけど、作っていて楽しいですね。こういうシンプルな曲が逆にライブで映える感じもあるし。

ーー“緑川裕宇”を楽曲に投影すると、いわゆる誤算らしい曲になるけど、素の自分を曲に落とし込むと「ライラックアイロニー」みたいなものになる?

緑川裕宇:ああ。そうかもしれないですね。

ーーそして、来年3月28日には豊洲PITでの4周年記念ワンマンライブ『挑戦は終わらない、俺達が俺達であるために』が決定しています。その前には全国無料ワンマンツアーなど、様々なライブを予定されていますが、4周年に向けていまはどんなことを考えていますか?

緑川裕宇:俺、未来のことをそんなに考えていないんですよ。楽しいか、楽しくないかだけで生きているんで。

神崎流空:僕としては、いまはもう5周年のことを考えてますからね。

ーー年間スケジュール的に、そこをいま考えないと間に合わないという。

神崎流空:そうです。4周年のことは3周年の前にはもう考えていたし。だから毎回恐ろしさはあるんですけど。

ーーその辺は想像通りに来ていますか? それとも想像以上の結果が来てます?

神崎流空

神崎流空:う~ん……トントンぐらいですかね(笑)。まあ、4周年の蓋が開いてみないとわからないですし、豊洲PITがパンパンになったら、そこは戦略通りではありますけど。でも、いまは人口も減ってますしね。

ーー少子化で。

神崎流空:そろそろ演歌でもやったほうがいいんじゃないか? っていう話もあるんですけど。

ーーそういう曲をやろうという計画もあるんですか?

緑川裕宇:曲の話は出てないけど、40歳以上は(チケット代を)1,000円にしようか? っていう話は出てるんですよ。まだ全然動いてないけど。

神崎流空:シニアチケットみたいな。60歳以上はタダとかね。

緑川裕宇:そうなるとやっぱ(巣鴨の)地蔵通りでフライヤー配ったほうがいいんじゃない?

神崎流空:いや、いいけど、おじいさんおばあさんはイス出してあげないと大変だよ?

水田魔梨:いつもライブは3時間ぐらいやるしね(笑)。

ーーそうやっていろんなことを計画しつつ、直感的におもしろそうなものは飛びついていくという、その2つの軸が誤算にとっては大切だと。

神崎流空:そうですね。自分の中でこの後の計画を立ててはいるんですけど、まだみんなには話してないんですよ。ある日突然スケジュールが更新されるぐらいで。それに、共有し始めたらぐちゃぐちゃになっちゃうと思うんですよね。直感で動いてもらったほうが絶対にいいと思うんで、いまはこの形でいいかなと思ってます。

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(取材・文=山口哲生)

■リリース情報
『絶望メンブレガール』
2019年9月10日(火)発売

■ライブ情報
『4th Anniversary ONEMAN 挑戦は終わらない、俺達が俺達であるために』
2020年3月28日(土)豊洲PiT

詳細はこちら

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