香取慎吾から生まれる作品は自身のDNAを持った化身のよう すべての創作物にも通じるテーマ

 「もう一つは、DNA=遺伝子ですね。生まれる、新しくなるってことは、何かを受け継ぐ部分もあると思う」小学生のころから国民的アイドルグループ・SMAPだった香取は、自分でも語るようにパーフェクトビジネスアイドルだ。そのパーフェクトなDNAが、アート活動に受け継がれていく。パーフェクトビジネスアイドルがパトロンとなり、アーティスト香取慎吾の活動を支えているのだ。かつて、ムンクが自分の作品を“子どもたち“と呼んだように、きっと香取にとっても作品一つひとつが彼のDNAを持った化身のようなものなのではないか。

 そう思うと、この表紙画をはじめ、すべての彼の作品を“香取慎吾の赤ちゃん“のように感じて一層愛しくなる。しずくのモチーフは、泣いているのかもしれないし、おしっこをしたのかもしれない。見る人の心境によっては、血液にも精液にも見えるかもしれない。抽象的なモチーフは、タイミングによって見えてくるものが変わっていく。それが、今の自分の新しい何かに気づくきっかけにもなる。また、それをNAKAMAとシェアして喜べるのが楽しい。

 NAKAMAが笑顔になるから香取が頑張れるのか、香取が頑張るからNAKAMAが笑顔になるのか。順でも逆でも“We New”と読めるように、きっとこれからも“新しい私たち“はどちらからともなく、共に生まれていくのだろう。アーティスト香取慎吾が育っていく様を、生み出される作品たちを愛でることで、私たちも新しくなり続けるのだ。

(文=佐藤結衣)

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