THE SIXTH LIEが語る、『とある科学の一方通行』OP曲や海外公演が広げたバンドの可能性

THE SIXTH LIE『アクセラレータ』OP曲の制作背景

あとは、ライブでこれを破壊的に歌うだけ(Arata)

ーーさて、約1年ぶりのニューシングル『Shadow is the Light』ですが、表題曲はテレビアニメ『とある科学の一方通行』のオープニングテーマとしてすでにオンエア中です。ギターリフでグイグイ引っ張っていくタイプで、サビ以外ではコードの動きもほとんどなく、アニメのテーマソングとしてはかなり挑戦的な楽曲だなと思いました。

Reiji:Aメロはベース音がずっと一緒ですしね。それも初めての試みでした。

ーーだからこそ、サビに入ったときの突き抜け感がより一層際立つんですよね。実際、『とある科学の一方通行』のオープニングで耳にしたときの高揚感や「ここから始まる感」の強さといったら、かなりのものがありましたから。

Ray:ですよね。実は、そこを意識して作ったんだよね。

Reiji:曲の始まりに起動音みたいなサウンドを入れていて。そこで「ここから始まる」って感じを強調しているんです。

ーー主人公のアクセラレータはいわゆるダークヒーロー的な存在ですが、歌詞ではそういった世界観が描かれています。

Ray:とにかく一番強い悪で、学園都市(『とある科学の一方通行』に登場する町)最強の悪。いろんな悪がいっぱいいるけど、そいつらには絶対に負けない唯一無二の悪ということをオープニングで表現したくて。サビの最後の〈突き刺さった 黒い影を すべて壊して 真っ黒なこの手で〉では、そういう部分を表現しています。タイトルの「Shadow is the Light」も影が自分にとっての光、自分にとっての正義だということを表しているんです。

ーーなるほど。悪は悪で突き抜けていくと、それが裏返る瞬間に「実はこれこそが正義なんじゃないか」ということにもなりそうですし。

Ray:そうですね。僕は正義も悪も紙一重だということが作品のテーマの裏にあると思ったので、そこを表現できたらなと。アクセラレータって過去に自分が犯してきた罪があるぶん、どう頑張っても自分は正義にはなれないという諦めもあると思うんです。なので、そういう要素も表現したくて、落ちサビで〈澄み渡った 白にだってもう 成れないのならば 真っ黒なままでいい!〉と歌っているんです。

ーーそういう歌詞を踏まえて、Arataさんはこの曲とどう向き合いましたか?

Arata:今まで歌ってきた曲の中で、抑揚を一番意識したのがこの曲で。サビで怒りを爆発させるじゃないですけど、そういう黒い部分をどんどん出していこうという志で歌いました。あとは、ライブでこれを破壊的に歌うだけですね(笑)。

Ray:歌詞もAメロはわりと情景描写的で、サビになると感情にスポットが当たるパートが増えるので、歌い方もそういう感じになると思うんです。「Hibana」のときもそうだったんですけど、アニメの楽曲ではAメロで情景描写に見せかけたストーリー描写というのをやろうと決めていて。「Hibana」では歌い出しの〈夜を刺す無数の遠吠えが 天を貫いた 僕らはみんなたった一つの満月に そうやって手を伸ばして〉がまさにそれで、みんなで金塊を争っているというストーリーを比喩で表現しているんです。今回は科学の発展という名のもと、明るく見えているけど実はいろんな闇が潜んでいることをAメロで表しています。

ーーRyuseiさんはこの曲をプレイする上で、どういったところに注意を払いましたか?

Ryusei:僕は今までずっと指弾きだったんですけど、今回初めてピック弾きでレコーディングに挑みました。疾走感が強い曲だから、アッパーでゴリゴリしたノリを出したくて、かなり練習しましたね。あと、Reijiがよく言うんですけど、アクセラレータはダークヒーローなので治安が悪い感じを演奏で表現したいと。僕もそのつもりで弾いてみました(笑)。

「P A R A D O X」の歌詞にはちょっとした仕掛けが(Ray)

ーー一方、カップリングの「P A R A D O X」はトラップの要素を導入したダンサブルな仕上がりです。この曲はどういうイメージで制作に臨みましたか?

Reiji:曲に関しては「Shadow is the Light」を経て、より濃くなった音楽性というか。ここまで行き過ぎたらアニソンではできないだろうなというところを、カップリングだから自由にしてもいいよねって思って作りました。

Ray:Aメロとかラップパートでは、ミックス的にはドラムの生音はほとんど出てないよね。

Reiji:いや、結構合わせて出してるよ。

Ray:今回は「Shadow is the Light」もそうなんですけど、生音と打ち込みのドラムをミックスしていて、キックなんかも重ねているので、ちょっとツーバスとか踏むとすごい倍音が出るんですよ(笑)。逆に、それがいい違和感を生んでいるのかなと思っています。

Ryusei:ベースもドラムと一緒で、エレクトリックベースが曲を引っ張っていくので、コード感の圧を底上げするみたいな役割なんですけど、アウトロでスライドっぽい生感のあるパートが出てきて。そこで物語が上昇していくようなイメージがありますね。

ーーなるほど。この曲の歌詞は何をイメージしているんでしょう?

Ray:『とある科学の一方通行』の中に出てくるキャラクターをイメージして作ったんですけど、実はちょっとした仕掛けを用意していまして。歌詞を普通に読めば誰のことを歌っているかわかると思うんですけど、どういう仕掛けかは……頑張って探してみてください(笑)。

ーーわかりました(笑)。Arataさん、この曲のボーカルに関してはいかがでしたか?

Arata:今までの曲と違ってヒップホップ調なので、ノリを出すために1単語1単語のアクセントを強めに歌っています。あと、ラップパートは初挑戦だったんですけど、エミネムとかいろんなアーティストを研究して、そういったアーティストをイメージしながら歌いました。

ーー実はこの曲を最初に聴いたとき、Linkin Parkが思い浮んだんです。皆さんにとってルーツのひとつだと思いますが、そういう部分を大切にしている曲なのかなと。

Ray:確かに。

Raiji:実は僕もサイドでラップパートに参加しているんですけど、マイク・シノダをイメージしてやっているんですよ(笑)。

ーーそうだったんですね(笑)。2曲ともライブ映えする楽曲だと思うので、生で聴くのが楽しみですよ。

Ray:特に「P A R A D O X」はライブ映えしそうな気がしますね。

Ryusei:先日リハーサルをしたときも、スタッフさんが「音源よりライブのほうがいいかも」と言ってくれたので、今から披露するのが楽しみです。

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