堂本剛、“真ん中”を再確認して歩みを進める ソロ活動に活かされたジャニー喜多川からの教え

 これまで、堂本剛から語られるジャニー喜多川氏の思い出は、いきなり電話をかけてきたのに「You、誰?」と逆に尋ねられた話など、モノマネを交えながら堂本光一と共にキャッキャッと披露される愛されエピソードの印象が強かった。だが、今回はジャニー喜多川氏がクリエイターとしての本音をこぼした夜のことも語られた。

 ジャニー喜多川氏が誕生日を1人で過ごしていることを知り、駆けつけた堂本剛に「僕の考えてることを形にしてくれた人がいない。誰にもわかんないんだよ」と吐露したのだという。当時は“めっちゃ愚痴るやん。まあ誕生日やし、愚痴聞いたろ“と考えていた堂本剛だが、今はジャニー喜多川氏があえてその話をして、「考えてることが全て表現できてないと思っても表現し続けなさい」と言ってくれていたのかもしれないと思えるという。

 その言葉を胸に「俺がカッコいいと思っててやりたいと思ってる表現をステージでやる……まあ、ツアー中にジャニーさん、天に昇っちゃったけど……でも、もう泣かないって決めたんで」と自分の“真ん中”を再確認して歩み進める堂本剛。8月16日には『SUMMER SONIC 2019 』東京会場、8月18日には大阪会場、さらに9月13日、14日、15日と京都・平安神宮での奉納演奏、そして9月24日Zepp DiverCity、10月4日Zepp Nagoya、10月7日、8日Zepp Nambaと、ステージが続く。

 人生とは、自分ではどうしようもないような大きな波に打たれ、それをなんとか耐え、ようやく訪れた凪に、その波の意味を見出していく日々の連続だ。そんな一つひとつの波と真正面から向き合ってきた堂本剛だからこそ、彼のFUNKを聞いていると、大海原で溺れそうになっている私たちに「もっと力を抜いて浮いてごらん」と言われているような感覚になる。力まず、手足を広げて、自分の真ん中を意識しながら、素直に漂う。そうすれば、きっと悲しい別れも含めた多くの出会いが繋いでくれた縁の力が、自分が行くべきところに、本来のあるべき姿に、導いてくれるはずだ、と言われているかのような……。

 何かと忙しい日々を過ごしている人や、つい誰かと比べてネガティブになってしまっている人は、ぜひこの溶けてしまいそうなアツい夏の夜に『NARALIEN』を手にとってみてはいかがだろうか。

(文=佐藤結衣)

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「アーティスト分析」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる