ジャネール・モネイ、パフォーマンスで体現するブラックミュージックの伝統ーー来日公演から解説

 最後に宇野氏は、今回のライブにおける国内での反響を振り返って、今後の期待を述べた。

「今回、ソールドアウトしていた金曜日のフジロックのグリーンステージで大勢の観客を前にパフォーマンスできたことはすごく意味のあることだと思います。ジャネール自身のソーシャル・メディアのポストからは、単独公演の後も、フジロックの後も、日本のお客さんのリアクションに彼女が深く感謝していること、そして今回の来日を心から楽しんでいる様子が伺えました。Amazonの看板シリーズである『ホームカミング』シーズン2でシーズン1のジュリア・ロバーツを引き継いで主演を担うなど、今や女優としても完全にトップクラスとなったジャネールの次のアルバムやツアーが何年後になるかはわかりませんが、その時には自然に日本もその視野に入ってくるでしょう。近年は、単純にマーケットとして日本を視野に入れていない海外の大物アーティストが増えていて、特に黒人のスターにとって日本は“パパラッチやファンに追いかけられずに街を歩ける国”ではあっても、もはや“パフォーマンスをしてお金を稼ぐ場所”ではなくなってきています。そんな中、ジャネールのようなオピニオンリーダー的な存在としてシーンの最前線に立っているスターの来日公演が幸福なかたちで終わったことは、グッドニュースと言えるのではないでしょうか」

 大きな反響を生んだジャネール・モネイのステージ。今回の公演によって彼女の凄みに気づかされた人も多かったのではないだろうか。また、ジャネールも日本に感銘を受けていたのだとしたら、次回の来日公演はさらに大きな盛り上がりをみせることだろう。いつかその日が来ることを楽しみにしていたい。

(取材・文=北村奈都樹)

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