『モヤさま』『水曜日のダウンタウン』『充電させてもらえませんか?』…音楽にこだわるバラエティ

『モヤさま』などバラエティ番組の音楽に注目

 土曜日プライムタイムのバラエティとして、老若男女に愛される番組に成長した『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』(テレビ東京系)は、テーマソングのスピッツがカバーする「さすらい」が印象的だが、BGMの選曲には「使命感」を持っているとプロデューサーの平山大吾氏は、インタビューにて明かしている。音効を担当するのは、音響効果を扱う会社・音響企画の塩谷弘樹氏ら(参考)。電動バイク初充電時の「北の国から 遙かなる大地より~蛍のテーマ」、焼き肉店での「お肉食べようのうた」、泊めてもらった宿での「にんげんっていいな」……『モヤさま』に通ずる徹底したポリシーを感じさせる。インタビューでは、平山の山口百恵「横須賀ストーリー」、左卜全とひまわりキティーズ「老人と子供のポルカ」にまつわるエピソードと共に、「気付かなくても気にならないし、気付いた人は面白いっていうものができたらいいなと思っている」といった思いが明かされており、冒頭でふれたマツコの例はまさに“気付いた人”に当たる。

 ほかにも「空耳アワー」で知られ、星野源やマキシマム ザ ホルモン、あいみょん、KinKi Kidsといったアーティストも多数出演する長寿番組『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)、長年千葉県在住のJAGUARを取り上げ続ける『月曜から夜ふかし』(日本テレビ系)など、音楽面において人並外れたセンスを放つ番組は数多く存在する(音効はそれぞれ、『タモリ倶楽部』が佳夢音の黒澤隆昌氏、『夜ふかし』が岡田淳一氏)。音楽認識アプリ・Shazamをはじめ、流れている音楽の曲名を簡単に調べることができる便利な世の中になった昨今。目だけでなく、耳でもバラエティ番組を楽しむことができれば、そこには気づきと共に新たな視聴の仕方が広がっているかもしれない。

■渡辺彰浩
1988年生まれ。ライター/編集。2017年1月より、リアルサウンド編集部を経て独立。パンが好き。Twitter

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