UNISON SQUARE GARDENの活動から感じる一貫したバンドの真理 結成15周年を機に考える

「油断する」お祭りとしての2019年

 「我々はいつも好き勝手ライブをやって君の街に行くだけなので別に来てくださいなんて思ってないし、ましてや県外からも来て~なんて思ってない。来たいなら来ればいいし、飽きたんなら来なければいい。ロックバンドが必要なら来ればいいし、文句があるなら来なければいい。これが普段の我々だ。

 それが今年はたった一回の記念日ライブなのだ。君の街にも行けない。これはなんとも体たらく、いつもの我々ならそうだ。しかし我々は15年間、よくやったのだ。たまには祝ってもらうんだよ。」(公式サイト 田淵智也のブログより抜粋)

 結成15周年を祝う大規模ライブ『UNISON SQUARE GARDEN PROGRAM 15th』のチケット販売を告知するブログエントリを、田淵は珍しく「待ってるぞ。来てくれ。」とファンに呼びかける言葉で締めた。時としてリスナーを突き放して考えさせるようなスタンスをとることもあるこのバンドだが、2019年はファンが喜ぶような企画を立て続けに準備している(彼らの言葉を借りると「油断している」ということになる)。

 7月3日には、結成15周年記念B面集ベストアルバム『Bee side Sea side 〜B-side Colloection Album〜』がリリースされた。こちらにも収録されている「ガリレオのショーケース」(メジャーデビューシングル『センチメンタルピリオド』のカップリング曲)が今でもライブのハイライトとして演奏されていることからもわかる通り、彼らの美学は昔から何一つ変わっていないということを端的に示しているのがこの作品である。

UNISON SQUARE GARDEN『Thank you, ROCK BANDS! 〜UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Album〜』(2CD)

 また、7月24日には初のトリビュートアルバム『Thank you, ROCK BANDS! 〜UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Album〜』のリリースが予定されている。先ほど同業者からも支持が厚いことについて少し触れたが、今作の顔ぶれを見ればその支持の厚さが本物であることがよくわかる。the pillowsや東京スカパラダイスオーケストラといった先輩格からa flood of circleやクリープハイプといった盟友的なバンド、さらにはイズミカワソラやSKY-HIのようなソロミュージシャンまで、かなり多彩かつ豪華な面々が集まった。それぞれのミュージシャンがそれぞれの得意技でユニゾンの楽曲をさらにエッジの効いたものに仕立て直した今作は、ユニゾンもしくは参加アーティストのファンではなかったとしても楽しめるであろう素晴らしいロックかつポップなアルバムとなっている。

 そしてその流れで7月27日に開催されるのが前述した『UNISON SQUARE GARDEN PROGRAM 15th』である。このあとにもカップリング曲による全国ツアーやトリビュートアルバムに参加したアーティストとのライブも控えているが、大阪で行われるこのライブが一つの節目にはなるのは間違いない。ただただシンプルにロックバンドであり続けようとしてきた3人を支持するたくさんのオーディエンスは、大会場においても「自由な音楽との向き合い方」で自然体でありながらも熱い空気を生み出すだろう。

 2019年が終わればバンドは再び「通常営業」に戻るということらしい。ただ、「シュガーソングとビターステップ」のヒットがその後のバンドの歩むべき道をよりクリアにしたように、今年の活動がユニゾンの未来に何らかの影響を与えるはずである。そんな中長期での変化の兆しも含めて、2019年の「祝福モード」のユニゾンを楽しみたいと思う。

■レジー
1981年生まれ。一般企業に勤める傍ら、2012年7月に音楽ブログ「レジーのブログ」を開設。アーティスト/作品単体の批評にとどまらない「日本におけるポップミュージックの受容構造」を俯瞰した考察が音楽ファンのみならず音楽ライター・ミュージシャンの間で話題になり、2013年春から外部媒体への寄稿を開始。2017年12月に初の単著『夏フェス革命 -音楽が変わる、社会が変わる-』を上梓。Twitter(@regista13)

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