King & Prince、1stアルバムで示す“新たなる王道” 収録曲のサウンドを聞く

 2ndシングル曲「Memorial」は、本作で大きく流れを変える存在。他のシングル曲と同様に、エレクトリックな音とストリングスの音色を配したサウンドは、非常にドラマティックだ。

 岸優太、永瀬廉、神宮寺勇太による「Letter」は、アコースティックギターのカッティングからストリングスもまじえたフォーキーなサウンドへ。「Song for you 〜君を信じて〜」は、プログラミングのリズムとストリングスが響くミディアムナンバー。

 ブラスセクションで幕を開け、リズムも軽やかなのが「君に ありがとう」。初回限定盤ではここで終わりだが、通常盤はバラード「King & Prince, Queen & Princess」が最後を飾っている。アルバムとしての完成度は通常盤のほうが高いだろう。

 さて、『King & Prince』というアルバムは、エレクトリックなサウンドを使う一方で、ストリングスやブラスセクションも配する。その比率は、絶妙にメインストリームのJ-POPという感じだ。多くの楽曲が、複数の作家で作曲されていることも、いかにも現代らしい。『King & Prince』は、2019年のメインストリームのJ-POPの姿をパッケージしたアルバムという感触もする。いわば新たなる王道なのだ。

■宗像明将
1972年生まれ。「MUSIC MAGAZINE」「レコード・コレクターズ」などで、はっぴいえんど以降の日本のロックやポップス、ビーチ・ボーイズの流れをくむ欧米のロックやポップス、ワールドミュージックや民俗音楽について執筆する音楽評論家。近年は時流に押され、趣味の範囲にしておきたかったアイドルに関しての原稿執筆も多い。Twitter

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