VTuber 富士葵、ファンと共に作り上げた“新感覚”なライブ キクノジョーらも登場の生誕祭レポ

VTuber 富士葵、生誕祭レポ

 そして後半は富士葵の真骨頂であるライブへ。「太陽系デスコ」(ナユタン星人)から始まり、2曲目の「Rising Hope」(LiSA)ではこの日初お披露目となる新衣装で登場。ピンクのメッシュが入ったエクステをつけ、ホットパンツにブーツ、というバージョンアップした衣装にどよめきが起こる。今までの可愛らしい富士葵から、セクシーで攻めた、大人っぽい富士葵に大変身し、激しいロックチューンと衣装が実にマッチしていた。そして最後はオリジナル曲「ユメ⇒キミ」。富士葵の伸びやかな歌声を楽しめると同時に、明日の希望を感じる歌詞のこの楽曲は、まさに彼女のコンセプトに沿ったアンセムとも言える。間奏では観客もコーラスに加わり、感動的な空間を一緒に作り上げるイベントとなった。

 最近ではライブビューイング会場として使われる映画館も増えた。今回の「SPWN」でのライブは、VTuberが1人のアーティストとしてステージに立つ空間であり、等身大の富士葵が目の前でパフォーマンスをし、その後ろにある2つのモニターで顔のアップなどが映し出されるというものだった。しかし、スクリーンのライブ映像を見ているのではなく、アーティストのライブを目の前で見る感覚と変わらないリアルさがそこにはあった。また、アーティストはアンコールで登場した際にラフなTシャツ姿で登場することが多いが、それと同じようにアンコールはTシャツ姿で出てきたり、終演後の“ミーグリ”(ミート&グリート)では、ファンのリクエストに応えたポーズで記念撮影や会話をするファンサービスもあった。終演後のリラックスした表情や、何気ない会話や動きから伝わるイベント本番とのオンオフの切り替えなど、演出の巧みさと細かさが秀逸で、VTuberの枠に収まらない富士葵の人気の秘訣の1つが感じられた。一方で、現実のアーティストが“やりそうなこと”を具現化し、観客もアイドルイベントをトレースしたかのようなリアクションをする空間は、一つの作品のようでもあった。まさに“新感覚”なライブ体験と言えるだろう。

(文=本 手/写真=福田華菜)

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