山田孝之&綾野剛&内田朝陽のTHE XXXXXX バンドの最大の特徴は“詩的であること”?

 この“詩的であること”は、今夜放送の『ミュージックステーション』(テレビ朝日系/以下、『Mステ』)で披露する「冷静に暴れていこうか」からも感じることができる。まず、曲調。ギターからスタートすると、シンプルな音数のAメロ、音圧が上がるBメロ、サビ前に再び落ち着き、一気に盛り上がる。曲の構成が劇的というか、ドラマチックというか、非常に叙情的なのだ。さらに、内田が奏でるシンセサイザーの多彩な音も曲に色を付けている。そして歌詞。サビで〈さあゆこう無卿な人生/広げ過ぎた視野を狭め/心が痙攣を起こす/痺れは快感へ〉と、突き進んでいくイメージの言葉が並ぶが、その直後に〈死は近いよ〉と相反する言葉が並ぶ。真意は彼らにしかわからないが、撞着語法のように彼らの中に渦巻く複雑な世界像が言葉に現れた結果なのだろう。『Mステ』で披露されるのは、「冷静に暴れていこうか(Rearrange)」バージョンのため、何らかのアレンジが加わると想像できるが、この詩的な世界像は崩れないはずだ。

 そんなTHE XXXXXXは、『スッキリ』内で「自分たちで(ライブを)やってみて、まじで尊敬する。本当にすごい」と音楽を生業にしている人たちへのリスペクトと畏怖の念を語っていた。その上で、バンドを続けていくと宣言。THE XXXXXXが音楽活動を続けていく意義は、「役者で手に入れたセンスや感情と、音楽で手に入れたセンスや感情をシェアしあう。こういう経験をしている役者としていない役者では表現の方法が変わってくると思うので、すべてにおいて糧になることは間違いないです」という綾野の言葉に詰まっているのかもしれない。この先、山田、綾野、内田は俳優としてもミュージシャンとしても、さらなるスピードで成長していきそうだ。

(文=高橋梓)

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