乃木坂46の“4番目の光”が放った力強い輝き 4期生の成長と決意を感じた横浜アリーナ公演

乃木坂46の“4番目の光”が放った力強い輝き

 矢久保が「4期生の絆を見ていただけたらと思います」と話したMCを挟み、11人が「全員センター」にチャレンジ。2014年12月12日に東京・有明コロシアムで行われた『アンダーライブ セカンド・シーズン FINAL!』から始まった乃木坂46の名物企画が「全員センター」だ。今回はシングル表題曲の中で「自分がセンターをやってみたい楽曲」を選んでパフォーマンスする。

 最初は賀喜遥香が「憧れが全部詰まっている」と語る「ガールズルール」のセンターに立った。「カッキー」コールの中、賀喜は青春の水しぶきが見えるようなハキハキしたダンスを披露する。掛橋沙耶香は映像を観て鳥肌が立ったという「裸足でSummer」をセレクト。「無邪気な哲学者」と感じさせるブログを綴る掛橋にピッタリな曲だ。

 筒井あやめはバースデーライブで踊った思い出を丁寧な言葉遣いで語り、「帰り道は遠回りしたくなる」をしなやかに舞う。柴田柚菜は「自分への応援歌」である「いつかできるから今日できる」で意志の強さを感じさせるパフォーマンスを見せた。

 北川のふわふわした雰囲気は「ハルジオンが咲く頃」と絶妙にマッチ。「私は乃木坂が大好きです」とストレートなメッセージを発信した。清宮レイは「めちゃくちゃ盛り上がりたい」という理由で「ジコチューで行こう!」を選び、元気いっぱいにステージで跳ねる。

 矢久保は「乃木坂46を好きになったきっかけになった」という「バレッタ」を歌う。嫉妬の森を小走りで抜け出した時、少しだけオーラが増したように感じた。「私もあんな風に踊れたら」と「命は美しい」を選んだ田村真佑は鋭い目力でステージを制す。

 センターステージまで歩を進めた遠藤さくらは「シンクロニシティ」を選択したことを宣言。以前なら諦めていたかもしれないが、『3人のプリンシパル』を乗り越えたことで、感情を出すことに挑戦したいと思ったという。その遠藤のパフォーマンスはどの瞬間を切り取っても絵画になるような美しさ。とくに手で顔を隠す時の表情は繊細にして大胆。1万5千人の心が一気に惹きつけられた。

 金川沙耶が思い出すだけで涙がこぼれてしまう曲「サヨナラの意味」のオリジナルセンターは橋本奈々未(卒業)。金川にとって橋本はまさに雲の上の存在だが、2人には「北海道出身」「元バスケ部」という共通点があるのだ。緑色の光に囲まれた金川の美少女ぶりに驚かされた。彼女はこのライブで一皮むけたことだろう。「全員センター」の最後は、早川聖来がキレのあるダンスとともに「太陽ノック」を歌う。横浜アリーナに一足早く夏が訪れた。モニターには『16人のプリンシパル』(1回目)で1期生がアカペラで「心の薬」を歌うシーンが流れる。当時、少女たちのありのままの歌声に心を打たれたファンも多いことだろう。その伝統を4期生が引き継ぎ、「心の薬」、「失いたくないから」を生の声で会場に届けた。「きっかけ」はソロで11人が歌い継いでいく。先輩たちが2015年の『FNS歌謡祭』で纏った“額縁衣装”を着ていたのも印象に残った。

 後半は「ロマンティックいか焼き」などの盛り上がるナンバーを披露。外周を何度も走り、衣装を何度も着替えた彼女たちの顔はキラキラと輝いていた。本編最後はアルバム『今が思い出になるまで』に収録された4期生曲「キスの手裏剣」を披露する。指で作ったハートからの手裏剣を「シュシュシュ」と投げる振りがあまりにもキュート。乃木坂46に新しい色が加わった瞬間だ。

 アンコールの「おいでシャンプー」では、「ナカダカナシカ」コールだけでなく「ヤクボミオシカ」コールが発声。SHOWROOM審査を賑わせた“謝罪ちゃん”は4期生として乃木坂ファンから愛される存在になっていた。

 MCで11人がひとりずつメッセージを発していくが、感受性が豊かな賀喜が泣いたことで、筒井、遠藤、清宮、北川、早川と涙が連鎖する。北川はこのライブが「これからの人生の原動力になりました」と語った。

 最後に「乃木坂の詩」を歌い、4期生は改めて乃木坂46の一員としての意識を強くする。遠藤は「『乃木坂46に来てくれてありがとう』と言ってもらえる存在になれるように頑張ります」と締めた。4期生は“夢”や“憧れ”で終わらせることなく、横浜アリーナでの単独ライブという大仕事を見事に完遂させた。彼女たちが未来を明るく照らし、乃木坂46の光は伸びていくことだろう。

■大貫真之介(おおぬき しんのすけ)
フリーの編集・ライター。アイドルを中心に、サブカルチャー全般を多くの雑誌に寄稿。『EX大衆』、『月刊エンタメ』、『日経エンタテインメント!』、『OVERTURE』などで坂道シリーズの記事を執筆。

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