flumpool、D'ERLANGER、パスピエ、女王蜂……変化の時期を迎えたバンドの勝負作

D‘ERLANGER『roneve』(通常盤)

 再結成10周年イヤーを終え、次のタームへと突入したD'ERLANGERの9thアルバム『roneve』。耽美な世界観とリアルな現実感が交差する歌詞の世界、ヘビィロック、グランジ、オルタナなどの要素を自在に取り込んだハイブリッドサウンド(ときに変則的なリズムアレンジもカッコいい)、そして、溢れんばかりの色気、狂気にも似た激しさがひとつになったボーカルなど、このバンドの独創性をさらに突き詰められている。唯一無二としか言いようがないスタイルと新たな表現の萌芽が同時に感じられる作品となった。目の前で4人がセッションしているような生々しい音像も印象的。“メンバー4人の音だけで、他にはない音楽世界を創造する”という真っ当なスタンスに貫かれたロックアルバムである。

PENGUIN RESEARCH『決闘』(Designed by 金田遼平)

 初のアリーナ公演(8月10日/横浜文化体育館)が決定するなど、ライブバンドとしてのスケールを拡大し続けているPENGUIN RESEARCHのニューシングル『決闘』。TVアニメ『ゾイドワイルド』(TBS系)の第4クールオープニングテーマに起用された表題曲「決闘」(作詞・作曲/堀江晶太)は、エッジの立ちまくったギターサウンド、ラウドな手触りをキープしたまま疾走するビート、激しくアップダウンを繰り返すメロディラインなど、バンド史上もっとも攻撃的なロックチューンとなった。鋭利なリズムを放ちながら、ドラマティックな旋律と〈御託より 勝ち星 あげてみろってな〉という強い言葉を突き刺す生田鷹司のボーカル、凄腕のメンバーたちによるアグレッシブなアンサンブルも素晴らしい。

PENGUIN RESEARCH 『決闘』(Short Ver.)

■森朋之
音楽ライター。J-POPを中心に幅広いジャンルでインタビュー、執筆を行っている。主な寄稿先に『Real Sound』『音楽ナタリー』『オリコン』『Mikiki』など。

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