ジェニーハイはなぜ“自己紹介ソング”を歌う? 「ジェニーハイラプソディー」に見るバンドの強み

ジェニーハイ「ジェニーハイラプソディー」

 「ジェニーハイラプソディー」で彼らは、メンバーのクセが強いことを活かし、「アイドル的」かつ「音楽性が高い」という欲張りを実現した。自己紹介曲を立て続けに2曲出すのはまさに「アイドル的」であり、「片手間」であるがゆえの自由な発想の産物であろう。とはいえ、自己紹介ソングで〈ゴーストライター!〉〈掛け持ちさせたらこっちのもん〉などと歌うと、自虐的で狙っていると批判がきそうなものである。しかし、技巧的なサウンドで奏でられる軽やかなメロディ、一人一人違った個性的な歌い方、〈今は違うけど みんな理不尽だ〉というピリリとした歌詞、その全てが相乗効果し、トータルでぐっと来てしまう。中毒性も抜群で、〈ジェジェジェニーハイ〉というサビは耳から離れない。公開から10日で200万回再生に届く勢いを見せているMVでは、5人が揃って銭湯でキレッキレのダンスを披露し、中毒性を高めることに大きく貢献している。indigo la Endが“美しく情緒的”、ゲスの極み乙女。は“ヒップホップ・プログレ・ロック”ならば、ジェニーハイは“アイドル性・中毒性・音楽性の高さ”が一つの代名詞となっていくかもしれない。

 今後のジェニーハイのキーマンを勝手ながら挙げさせてもらうとすれば、ガッキー(新垣隆)だと思う。カンペを持ちながらラップを歌ったり、MVで思い切り水をかけられたり、〈ゴーストライター!〉とポーズを決めて叫んだりと、芸人さながらのイジラれ姿が可愛らしいのに、音楽の才能は格別という最高のギャップを持つ。ガッキーは川谷のインタビューを本人の目の前で読むなど、川谷の才能に(照れながらも)興味と尊敬を示しているらしい(参考:ONTOMO)。2人の才能が融合し、「ネタバンドなのに、チャートを総なめ!」なんて新時代さえ予感させてしまうバンド・ジェニーハイ。川谷のTwitterによると「近々ちゃんとしたバンド曲も準備している」「5人の色気がたっぷり詰まってる」と言うから、今から楽しみで仕方がない。

■深海アオミ
現役医学生・ライター。文系学部卒。一般企業勤務後、医学部医学科に入学。勉強の傍ら、医学からエンタメまで、幅広く執筆中。音楽・ドラマ・お笑いが日々の癒し。医療で身体を、エンタメで心を癒すお手伝いがしたい。Twitter

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