稲垣吾郎と本棚を共有し1冊ずつ増えていくワクワク感 『ゴロウ・デラックス』本の全リストを見て

 自分でも「内向的で人見知り」と認めるように、稲垣のパーソナルイメージは決して社交的ではない。最近でこそ「イラチ(すぐにイライラしてしまう)」と繊細で敏感な性格を自らネタにする場面もあるが、それでもやはり稲垣の心の扉はフルオープンには見えない。しかし、だからこそ、そんな稲垣の心の扉を開いた本、そして著者に、好奇心が掻き立てられたのだろう。

 また、「真っ白なところからものを作っていく方々には、劣等感みたいなものをずっと抱いている。劣等感が、憧れや尊敬に繋がっていくんですけどね」という言葉も印象的だ。その劣等感と呼ぶ視点は、私たち視聴者と限りなく近い。稲垣自身も素晴らしい才能を持っているにも関わらず、「劣等感がある」と話せる稲垣の冷静な眼差しとブレのなさが『ゴロウ・デラックス』を品のある番組にしていたのだと改めて感じる。

 だが、「番組が終わったからといって、全てがゼロになるわけではない」と稲垣は前向きだ。インタビュアーとして作家と対談していく企画も大歓迎だという。いつか自分でも文章を書いてみたいという夢も。そして、アーティストとして活躍中の香取慎吾と共に「絵本作りも素敵なのかも」とアイデアは止まらない。

 同番組で稲垣の相棒を務め、彼の読み、聞く力を間近に感じてきたTBSアナウンサー外山惠理も「インタビュアーとしての仕事を続けてほしい」と熱望している。そして、いつかまた『ゴロウ・デラックス』がやりたい、それが難しければ別の形であっても、この精神を受け継いだ企画をやりたい、とも。それはきっとこの番組に携わったスタッフや出演した著者たち、または出演を夢見た作家たち、そして番組を楽しみにしていた視聴者すべての願いだろう。

 稲垣吾郎と本棚を共有し、1冊ずつ増えていくワクワクを、またいつか。その日が来ることを信じて、318冊の本をもう一度味わい直しておこう。

(文=佐藤結衣)

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