ヒプノシスマイク、1stアルバムが2位にランクイン 楽曲に詰まった型破りなまでの遊び心

 なかでも面白かったのは、シンジュクの麻天狼の面々が過ごす休日をジャジーな4つ打ちに乗せて描く「パピヨン」と、イケブクロのBuster Bros!!!が朝に放送しているラジオ番組という設定の「おはようイケブクロ」の2曲だ。

 前者はビートの雰囲気が切り替わっていきつつも楽曲として自然な流れを崩さない巧みな仕事。効果音やガヤなどを的確に使って描かれるコミカルな情景には唸る。たとえば、冒頭、サラリーマンという設定の観音坂独歩が仕事の夢にうなされて目覚める場面の音響的な仕掛けには、くすりと笑みがこぼれてしまう。

 後者はもはや「曲」としての体裁が崩れかねないほどのギミックが満載で、さながら本物のラジオ番組のよう。リスナーからのメールや大喜利といったコーナーに加え、番組ジングルにコマーシャル、放送局のサウンドステッカーまで用意されている。これだけ入って4分半に収まっているのが不思議でしょうがない。楽曲としても面白いし、「こんなラジオ番組聞きたい!」と思わせるようなキャラクターの魅力もたっぷりだ。

 ヒプノシスマイクの楽曲には曲としてのベタな良さやキャラクター萌え、さらには型破りなまでの遊び心が詰まっているということを、『Enter the Hypnosis Microphone』をもって再確認した。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「チャート一刀両断!」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる