YuNiが語る、バーチャルシンガーを貫いて得た音楽活動の充実「Vと現実の架け橋になりたい」

YuNiが語る、バーチャルシンガーとしての充実

令和からは勝負の時代

ーーそもそも、YuNiさんは歌や音楽のどんなところに惹かれたんですか?

YuNi:もともと歌うことは好きでしたけど、実はクラシックのような、声がない音楽もすごく好きでした。今思うとビックリですけど、昔は「人の声はいらない!」って思っていた時期もあったぐらいなんです(笑)。でも、自分が歌をひとりで歌うときも、誰か友達と一緒に歌うときも、(曲や誰かの声と自分の声の)和音が一緒になった瞬間に、すごく楽しさを感じて。そうやって色んな音が集まったときの和音やコードの進行が気持ちよくて、「そのよさを表現したい」って思ったことが、歌を好きになったきっかけだったと思います。あと、YuNiは曲を聴いて、色んな想像を広げるのが好きなんですよ。歌の世界をトリップするのが好きなんです。

ーーYuNiさんは以前にも、「曲からイメージや風景を想像して歌う」と話してくれていました。それは「歌を通して色んなところに行けるのが楽しい」ということなんですね。

YuNi:そうなんです。なので、よく家を真っ暗にして、思いきり音量を上げて曲を聴くことも多いです。曲から色んなことを想像して、自分がその場所にいるような感覚になれたり、「この曲は夜の海で聴きたいな」って想像して、その場所にいることをイメージしたりするのがすごく楽しくて。それもすごく大きかったのかなぁと思います。

ーーとはいえ、さっきも少し話してもらいましたが、活動をはじめた頃は大変だったんじゃないですか?

YuNi:オリジナル曲もない状態で、自分で曲を作ったこともなかったので、カバーを歌っていても「自分らしさってなんだ?」という感じになって。実際に「YuNiの曲は自分がない」って言われることもありましたし、「自分らしい歌い方って、どんなものなのかな?」ということは、本当にずっと悩んだり、考えたりしていました。

ーー特にYuNiさんの場合、「歌ってみた」で披露していたカバー曲でも色々な歌い方をしていましたしね。ときにはイケボになることもありました(笑)。

YuNi:あはは(笑)。本当にそうで、色んな歌を歌わせてもらって、その中で色んなテクニックを盗ませてもらったり、「自分はこんな風に歌うクセがあるんだな」ということを理解していったりしたので、「最初から分かってなくてよかった」って、今となってはすごく思います。

ーーちなみに、歌で行き詰ったときは、どんな風に解決するんですか?

YuNi:前にちょっと行き詰ったときは……陶芸にいきました(笑)。

ーー陶芸ですか?(笑)。

YuNi:気持ちをリセットするのが大事なので、一度歌から離れて、全然違うことをするんですよ。たとえば、泣きながら録ったカバー曲って、やっぱり後で聴いてみても暗いんです(笑)。そういうときは、別のことをして、また違う日に挑戦します。最初、ロックはそうでした。

ーーロックはYuNiさんの苦手分野ですよね。

YuNi:そうなんです。「これは続けちゃダメだ」と思って、一回「ポーン!」ってしました(笑)。

ーーYuNiさんの場合は他のバーチャルタレントの人たちと比べても企画配信や雑談配信が極端に少ないのも特徴だと思います。これはどんな気持ちからなんでしょう?

YuNi:やっぱりYuNiはバーチャルシンガーなので。他の人と同じことをしてはいけないな、と思うんです。「こういうものが流行っているから、これをやろう」ということだけだと、誰かの真似でしかないと思うし、「バーチャルシンガーって名乗るなら、ちゃんとスジが通っていないとカッコ悪いよ?!」って思っていて。でも、実は最初はすごく迷いました(笑)。

ーー当時はYuNiさんのような活動をしている人はなかなかいなかったですしね。

YuNi:そうなんです。まだ歌しか上げていなかったときは、「ゲームはしないの?」とか、「企画配信をしないなら、VTuberじゃないじゃん」「いつになったら歌をやめて、普通の動画を観れるの?」ということもたくさん言われて。ちょっと揺らいだんですよ。でも、「ここでブレたらいけない!」と思って、歌を貫き通した結果“今”があるんだなって、すごく思います。踏ん張ってよかったです。

ーー活動していく中で、刺激を受けたシンガーやアーティストの人はいますか?

YuNi:昔からずっと好きだったのは、la la larksさんと、GARNiDELiAのMARiAさん、あとは坂本真綾さんもそうです。でも、それだけじゃなくて、これまでカバーさせていただいた方のことは全員リスペクトしているんです。歌って、聴いているだけだと簡単に見えるようでも、実際に歌ってみるとすごく難しかったりしますし、これまでカバーをさせてもらったすべての人のいいところをたくさん学ばせてもらったので、本当に感謝しかないです。

ーーある意味、これまでカバー動画を上げてきた人たちすべてに影響を受けている、と。これまでの活動の中で、特に嬉しかった/楽しかった思い出というと?

YuNi:たくさんありますけど、まずは音楽を通して色んな人に会えたことですね。ずっと好きで聴いてきたla la larksさんに曲を作ってもらえるなんて「音楽をやってきてよかった」って思いましたし、YUC’eさんもkzさんも、ヒゲドライバーさんも、いつも応援してくれるゆにチルのみんなも、仲よくしてくれるV(バーチャルYouTuber)のみんなとも会えて……。こうして活動できること自体が、YuNiにとってはすごく楽しいことなんですよ。あと、嬉しかったのは、これまでずっとひとりでしかゲームをしたことがなかったのに、Vのみんなと仲良くなって、(甲賀流忍者!)ぽんぽこちゃんたちと一緒にみんなでゲームができたこと(笑)。本当に楽しかったです(笑)。

ーーゲーム仲間も出来た、と(笑)。逆に苦労した思い出や失敗談も教えてください。

YuNi:大変だったのはやっぱり、半年間ほぼ毎日「歌ってみた動画」を上げ続ていた頃ですね。あと、失敗という意味では、マイクを逆にして録っていた時期もありました(笑)。全然機材に詳しくなかったので、ずっとマイクを逆にして録音していて、結局全部録り直したりして……。

ーー心が折れますね……。

YuNi:本当に色んなことがありました(笑)。

ーー本当にイチから色んなことを経験してここまできたという感じなんですね。アルバムを完成させた今の気持ちを教えてください。

YuNi:この『clear / CoLoR』は、関わってくださったみなさんのおかげで「本当にいいものができた」と思っているんです。今の等身大のYuNiが出せたアルバムになったと思っています。でも、これはあくまで今のYuNiなので。「次は今よりもっといいYuNiを出していきたい」と思っていますし、実際に、最近では歌い方自体もどんどん変わってきているんです。まだまだ成長している途中でもあるので、「これからも楽しみにしてほしい!」って思います。

ーー4月30日から5月1日には、新元号をまたいでのVRライブ『さよなら平成カウントダウンライブ UNiON WAVE - clear -』も開催されます。このライブに向けての意気込みも教えてもらえますか?

YuNi:このライブの間に元号が「平成」から「令和」に変わるわけですけど、こういう元号って、何十年も続いたりするものじゃないですか?

ーー確かに、3カ月で終わったりすることはなかなかないはずです(笑)。

YuNi:なので、YuNiは令和で世界に行きたいと思っているんです。令和でその夢を叶えたい! そのための最初のライブになるのかな、って思います。Vの時代って、まだまだこれからだと思うんですよ。平成というのは(キズナ)アイちゃんのおかげでバーチャルYouTuberが誕生した時代でしたけど、令和からは本当に、勝負の時代だと思うし、「生きるも死ぬも令和」だと思うんですよ……!(笑)。

ーー「生きるも死ぬも令和」(笑)。

YuNi:なので、また気持ちを入れ替えて頑張っていきたいです。そういえば先日、初めてVの人たちにあまり興味のないお客さんたちもいる中でライブをさせてもらったんですけど、そこで初めて現実を突きつけられたんですよ。「バーチャルな文化が盛り上がってる」と言われている中で、頭で分かってはいたけど、「まだまだ自分たちのことを受け入れてくれる人たちばかりじゃない」ということに、初めて直面したんです。でも、あそこに出させてもらって「本当によかったな」って思っていて。そこで現実をちゃんと目にしたことで、改めて頑張りたいと思ったし、「その状況を変えていきたい」って思いました。そんな風に、Vと現実の架け橋になって、偏見のようなものをどんどんなくしていきたい、と思うようになりました。

ーー『さよなら平成カウントダウンライブ UNiON WAVE - clear -』にも、それ以降の色んな機会にも、色んな人たちが来てくれたら、その魅力が伝わっていきそうですね。

YuNi:そうだと嬉しいです。ちゃんと曲を聴いてもらえれば、バーチャルな文化に触れていない人たちにも受け入れてもらえる曲になっていることは伝わるはずなので。あと……ひそかな目標としては、『ミュージックステーション』(テレビ朝日系)に出たい! そのうえで、バーチャルな存在として、人間には出来ないことをやっていきたいです。「人ができるライブの真似」をしたり、「キャラが動いているだけで可愛いからいいだろう」と思うんじゃなくて、人には出来ないことをしていきたい。「YuNiたちにしかできないことをしたい」って思っています!

(取材・文=杉山仁)

■リリース情報
『clear / CoLoR』
4月24日(水)リリース

<配信先>
iTunes : 予約先 clear / CoLoR
Google Play : 予約先 clear / CoLoR

<販売店別 購入特典>
Amazon : 複製サイン入りチェキ【初回限定盤】 / 【通常版】
Amazon : 限定特典なし【初回限定盤】 / 【通常版】
アニメイト : オリジナルクリアファイル(A4サイズ) 【初回限定盤】 / 【通常版】
ゲーマーズ : オリジナル缶バッジ【初回限定盤】 / 【通常版】
タワーレコード : 両面ポスター(B2サイズ)【初回限定盤】 / 【通常版】
とらのあな : オリジナルアクリルチャーム

・初回限定盤
<DISC 1>
1. 透明声彩 (作詞/作曲/編曲 : YUC’e)
2. 花は幻 (作詞/作曲 : la la larks , 編曲 : 江口亮)
3. ジレンマ (作詞/作曲 : la la larks , 編曲 : 江口亮)
4. Write My Voice (作詞/作曲/編曲 : kz)
5. Winter Berry (作詞/作曲/編曲 : YUC’e )
6. ウタオウヨ、ウタオウヨ (作詞/作曲/編曲 : ヒゲドライバー)

<DISC 2>
1. エイリアンエイリアン (作詞/作曲 : ナユタン星人)※新録
2. シャルル (作詞/作曲 : バルーン)※新録
3. 妄想感傷代償連盟 (作詞/作曲 : DECO*27 ) ※新録
4. ハロ/ハワユ (作詞/作曲 : ナノウ)※新録
5. flos (作詞/作曲 : R Sound Design)※新録
6. 命に嫌われている (作詞/作曲 : カンザキイオリ)※新録

<DISC 3>
1. 透明声彩 Music Video
2. 花は幻 Music Video
3. Winter Berry Music Video
4. エイリアンエイリアン Music Video
5. シャルル Music Video
6. 妄想感傷代償連盟 Music Video
7. ハロ/ハワユ Music Video
8. flos Music Video
9. 命に嫌われている Music Video

・通常盤
<DISC 1>
1. 透明声彩 (作詞/作曲/編曲 : YUC’e)
2. 花は幻 (作詞/作曲 : la la larks , 編曲 : 江口亮)
3. ジレンマ (作詞/作曲 : la la larks , 編曲 : 江口亮)
4. Write My Voice (作詞/作曲/編曲 : kz)
5. Winter Berry (作詞/作曲/編曲 : YUC’e )
6. ウタオウヨ、ウタオウヨ (作詞/作曲/編曲 : ヒゲドライバー)

<DISC 2>
1. エイリアンエイリアン (作詞/作曲 : ナユタン星人)※新録
2. シャルル (作詞/作曲 : バルーン)※新録
3. 妄想感傷代償連盟 (作詞/作曲 : DECO*27 ) ※新録
4. ハロ/ハワユ (作詞/作曲 : ナノウ)※新録
5. flos (作詞/作曲 : R Sound Design)※新録
6. 命に嫌われている (作詞/作曲 : カンザキイオリ)※新録

■ライブ情報
『さよなら平成カウントダウンライブ UNiON WAVE - clear -』
日程: 2019年4月30日(火)
時間:開場 22:30 / 開演 23:15 / 終了 25:00頃
会場:「cluster」/「YouTube」
出演者:YuNi (ユニ)
ゲスト:ときのそら、 樋口楓(ひぐち かえで)、 かしこまり、 天神子兎音(てんじん ことね)
ハッシュタグ:#さよなら平成ライブ
料金:¥6,800(税込)
追加チケット販売: 2019年4月20日(土)19:00~
※先着順での受付となりますので、 予定枚数に達し次第受付終了となります。
チケット販売ページ:「cluster」内「さよなら平成カウントダウンライブ UNiON WAVE - clear -」 ページ
視聴方法: VRデバイス向けアプリ「cluster」にて視聴
VRデバイス(Oculus Rift /HTC VIVE/HTC VIVE Pro)とPC(Mac/Windows)

YuNi 公式サイト
YuNi 公式YouTubeチャンネル

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