木村拓哉の原点は岡本健一? SMAPメンバーの名前も出たラジオでの思い出話を聞いて

 原宿にあった半地下のカフェバー。フロアには映画の映像が流れる大人な雰囲気の中、唐揚げが乗ったピラフをごちそうしてくれた岡本。木村にとって、“カッコいい兄貴像”が生まれた瞬間だったのだろう。それから、岡本に教わった美容室に行き、岡本からもらった黒のエレキギターを触り始めた、とも。そして、岡本が19歳で立った蜷川幸雄演出の舞台『唐版 滝の白糸』を観劇したという木村は、その翌年17歳で蜷川幸雄のもとで初主演舞台『盲導犬』に挑むことになる。俳優・木村拓哉の原点にも岡本の存在が関わっていたことが明かされた。

 対して「俺が覚えてるのはね、拓哉が教習所通いだして、“仮免取ったんすよー”って(笑)」と、岡本から語られる木村は人懐っこくて実に可愛らしい。18歳の木村と21歳の岡本が、クライスラーのニューヨーカーに乗り込み、ロックをガンガンかけてドライブへ。青春映画のワンシーンのような光景が脳裏に浮かぶ。「どっかの陸橋のカーブに行ったときに、拓哉が全然曲がりきれてなくて、俺が“そうじゃない! そうじゃない!”って言ったのは、すごく覚えてる」(岡本)、「あははは! 恥ずかしい」(木村)。そんなドタバタ感も、きらめく青春の1ページだ。

 携帯電話のない時代、岡本に「方南町の信号のところに立ってろよ」と言われて、30分くらい立って待っていた木村のいじらしさ。そんな木村を岡本は地元・高田馬場の中華料理屋へ連れて行ったり、「ここ面白いよ、こいつ面白いぜ」とクラブやミュージシャンを教えたり、と可愛がっていった。

 次第に、ロックの世界にどっぷりとハマっていく岡本は、髪の毛を伸ばして染め、ピアスを開けて、私服っぽい衣装を着こなしていく。いわゆる“ジャニーズらしさ”とは違うカッコよさを追求していく岡本を見て、木村も「影響されて、金髪メッシュにしたじゃないですか。先輩がやってるなら俺もやろーって。で、光GENJIのバックに出るとき、“You、最悪だよ”って言われて(笑)。黒い髪スプレーをブワーってかけられて……」と、先駆者がぶつかる大きな壁があったことも語られた。

 一方、岡本も「俺は“拓哉のことで相談があるって”事務所に呼び出されて、“拓哉があなたの真似をして髪を伸ばしたり、メッシュを入れたり、ピアスしたり、悪い影響を受けてるから、あなたからやめなさいって言って”って(笑)。え、俺が言えばやめるの? っていうか、俺、そんなダメ? って(笑)」と、知られざる攻防があったことを明かす。

 当時は、木村の人気がうなぎのぼりに上がっていったころ。岡本は「やめろ」どころか、「今、とにかく好きなこと全部やれ! (髪を)伸ばしたかったら、膝まで伸ばせ!」と木村の背中を押したのだという。90年代を象徴するキムタクファッションは、岡本の男気ある助言があればこそ、生まれたものだったのかもしれない。第1回目にして、これほど濃厚なトークを繰り広げたふたり。次回以降、どこまで深い話が聞けるのか期待が高まる。

(文=佐藤結衣)

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