Suchmosとユニコーンの最新作が雄弁に語る“ロックバンド”の面白さ チャートインを機に考察

 一方ユニコーンの『UC100V』は、往年のロックサウンドを現代風に蘇らせたかのような躍動感とラウドさに驚かされる。いや、ユニコーンを捕まえて“驚かされる”というのもなんだか失礼ではあるのだが。音数は絞りつつも各楽器がきちんと空間を埋め尽くす、心地よくもダイナミックなアンサンブルは、“ユニコーン100周年”(なぜ100なのか、細かい理屈はここでは省くが……)を掲げるバンドらしからぬ瑞々しさだ。左右のチャンネルにぱっきりと振り分けたツインギターに、手数が多めのドラムスと全体を支えるベースが中心に据えられたサウンドデザインは、王道であると同時に楽器同士の現代的な分離の良さをつくりだしている。再始動後の諸作と並べても、バンドの一体感と楽器ごとの動きの捉えやすさを両立した楽しみがいのあるサウンドという点で、頭一つ抜けている印象がある。力の抜けた、ユーモアとかっこよさが絶妙なバランスで混じり合った歌詞も良い。

 近年、ロックバンドをやる、ということに対するアンビバレントな思いを抱えるミュージシャンも多いなかで、この2作は“まだこのかたちで鳴らせる面白い音がある”ことを雄弁に語っているように思う。しかもそれが“いい意味で変わらないもの”にとどまらず、多かれ少なかれアップデートされているとなれば、なおさらだ。

■imdkm
ブロガー。1989年生まれ。山形の片隅で音楽について調べたり考えたりするのを趣味とする。
ブログ「ただの風邪。」

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