CIVILIAN、他者との交流&自身最長ツアーで芽生えた変化「表現方法にこだわってる場合じゃない」

CIVILIAN、他者との交流で芽生えた変化

中田裕二、majiko、まねきケチャ、三者三様の楽曲制作

CIVILIAN 『I feat. まねきケチャ』MV short ver.

――去年というと、自主企画の対バンツアー『INCIDENT619』が思い浮かびます。技術の向上という点でいうと、対バン相手である中田裕二、さユり、GARNiDELiAのバックバンドも務めた経験が大きかったんじゃないかと思いますが。

有田:あの時のイベントのバックバンドをやろうって言い出したのは俺なんですよ。思いつきの発言がスタートでしたけど、確かにバンド自体がめちゃめちゃ上手くなりました。

純市:30曲くらいやったからね。その案が出たときは、新鮮だなって思ったんですけど、実際に曲を覚える段階になった時に、まじか~、大変だなってなって(苦笑)。

コヤマ:僕はもともと、人の曲をたくさんコピーしてきたので、素直に楽しかったですね。中田さんや椿屋四重奏の曲は個人的に完コピに近いくらいコピーしてたのですんなり出来て。さユりさんとGARNiDELiAに関しても、むしろ自分たちのテイストにない曲だったからこそ、1曲1曲、自分が違うギタリストになったつもりでコピーしていたので、カメレオンになった感じがしました。

有田:バンドの許容範囲が広がったのは間違いないと思いますね。自分たちの良さがでるところもあれば、逆に苦手なところもわかったりして。一人一人の技術向上につながったんじゃないかと思います。

純市:GARNiDELiAは打ち込みだからこそかっこいい曲もあったので、生バンドで、しかも、この少ない楽器でどうやってカッコよく見せるんだっていうのは一番難しかったけど、アレンジの勉強にもなったし、かなり身についたなって思います。

――『INCIDENT619』での経験がそのままコラボシングルへと繋がってますよね。

コヤマ:そうですね。今回のCDを出す、そもそもの事の発端になったイベントだったと思います。あのイベントだけで“他人と一緒に何かをやる”っていうことを終わらせてしまうのはもったいないから、さらに推し進めて、何か形に残るものを出そうっていう話になって。

有田:曲の書き方もいつもと違うし、歌詞も相手に合わせて書いているので、まず、出来上がってくる曲自体に新鮮味があったし、めちゃめちゃ面白かったですね。しかも、レコーディングを経て、コラボ相手によって、曲がどんどん変化していって。例えば、中田さんとのセッションはプロデュースっていう形だったから、サウンド面からいろいろ言ってもらえたりとか。まねきケチャとmajikoさんの時は、歌が入ってきて初めてわかる凄さがあったりとか。それぞれのキャラクターに合った歌詞を書いてくるポイントだったりとか。

純市:楽器隊としては、当然、CIVILIANの新曲っていう感覚でやってた部分もあったんですけど、中田さんがプロデュースしてくれた曲は、うちらにないアレンジだったり、曲調っていうのを話し合いながらレコーディングしてて、すごく充実してて楽しかったです。

――中田さんに注入してもらったCIVILIANになかったものというのは?

純市:アダルトな感じ? 歌謡曲というか、オルタナロックじゃない感じというか。

有田:妖艶とか、艶っぽさとか。俺は普段、自分たちの曲だとすごい音を理詰めで考えちゃうんですよ。中田さんから「そんなに根を詰めずに、もっと感覚的に、いいな、これと思ったものでやればいいのに」って言ってもらって。それはずっと残ってますね。ずっと重箱の隅をつつくような音作りをしてたんですけど、「いや、今、この混ざった感触がいいって思ったら、それでちょっとやってみよう」ってやってみたりとか。先輩の懐の深さを感じました。

コヤマ:中田さんと作った曲は弾き語りの状態でデモをお渡しして。そこからは全てお任せします、自由にやってくださいって最初のアレンジからお願いしましたね。

――歌詞に関してはどんなやりとりがありました?

コヤマ:中田さんは最初から「いい曲だから、より普遍的で人を選ばない曲にしたい」って言ってくれて。例えば、歌詞の言葉1つ1つで、僕が描くとどうしても、特定の人にぐさっと刺さってしまうような言葉遣いを無意識のうちにしてしまう。そういうものを、いい意味で角を取って、聴きやすくして。例えば、最初は「血液」っていう単語が出てきていたんですけど、聴く人を選ぶ単語だし、それを違う単語に変えてみたらどうだろうとか。

――その間口を広げる作業はありでした? 狭く鋭い言葉がCIVILIANらしさの1つでもあると思うんですが。

コヤマ:僕にとっては、椿屋四重奏の最初のインディーズアルバムから大好きだった憧れの人だったので、中田さんにプロデュースしていただくと決まった時から、どんな結果になっても、中田さんの言う通りにしようって思ってたんですよ。だから、歌詞に関して、自分にそういう傾向があるっていうことは十分にわかっていて。しかも、それが、いわゆるいいとされてきたこともわかってる。だからこそ、自分自身では、そこから離れられないと思っていたし、中田さんがそこを壊してくれることを期待していたんです。だから、「普遍的な曲にしたい」って言ってくれた時にすごく嬉しくて。歌詞も、自分の感性ではなくて、中田さんがこうすれば普遍的になるのではないかっていうことを、1回は全て尊重しようと思ってやってました。もちろん、全てを採用したわけではなかったんですけど、基本的にはお任せして大正解だったし、本当に勉強になりました。

――しかも、ラブソングになってますよね。

有田:歌詞の登場人物に二人の人が出てくること自体が珍しいですよね。そこも中田さんとの共作だったからかなって。

コヤマ:僕もラブソングのつもりで書きました。今までは恋愛の曲を書くことをずっと避けてきて。書かなかったというよりも、書けなかったという方が正しくて。恋愛の歌だけは、書こうとすると、どうしても自分の自意識が邪魔してしまう。自分がこんなことを歌っても様になるはずがないっていう思いがずっとあって。恋愛の歌を書いても、自分でいいと思えなかったんですね。ちらほら書ける歌も、負の面ばかりを歌ってしまって。中田さんは男女間のことを歌うことにかけては、本当に名曲をたくさん残してらっしゃるので、中田さんの力をお借りして、ダークでもマイナスでもない、誠実な恋愛の歌を作ってみようって思ったんです。

――まねきケチャとの曲もラブソングですよね。

コヤマ:そうですね。これも今までできなかったことをやろうとして。アイドルの声でポエトリーリーディングをしてもらうっていう。

――赤坂BLITZでの共演はいかがでした?

有田:いや~。いい匂いがしました(笑)。しっかり真摯に歌ってくれて。

純市:すごい迫力でしたよ。全員でサビを歌うところとか。新鮮でニヤニヤしちゃった。(笑)。

有田:(笑)。歌詞の内容が20代半ば以降の恋愛の歌じゃないですか。耳が痛いところもいっぱいあるんですけど、ある程度、年齢を重ねた人は言われたことがあるようなキラーフレーズがいっぱいあって。ご本人さんたちは「こんな恋愛したことないからわからないかも」って言ってたんですけど、まねきケチャさんの声で聞いて、グッときてる男のファンたちがいっぱいいたらめっちゃいいなって思って。

――まねきケチャとしても新しい経験だったと思います。彼女たちのオリジナル曲の歌詞は全て、プロデューサーの古谷完さんが書いているので。

コヤマ:まねきケチャさんも「すごく好きです。今までにない感じで、楽しかったです」って言ってくださって。CIVILIANにとっても、今までにバンドの文脈には一切なかった存在だったんですね。僕は現実でもアイドルに関わったことがなかったので、果たしてどれほど歌えるんだろうとか、未知数な状態だったんです。でも、レコーディングで歌ってもらった瞬間に、アイドルの皆さんは上手いとか下手とかじゃないんだなってわかって。歌唱力を売りにしてる方もいると思うんですけど、アイドルって己の存在で生きてるんだなっていうことを実感したんですよね。だから、例えば、ピッチが合ってる合ってないというところじゃなくて、歌った瞬間に歌のキャラクターができたんです。その瞬間に、これはいいものになるなって、確信しましたね。

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