Snow Man、新体制で『滝沢歌舞伎ZERO』主演に挑戦 密着ドキュメンタリー第1回を見て

「貪欲って言葉のもう2〜3個上があったら」とにかくストイックなSnow Man

 全体稽古の初日、「前代未聞です」と稽古のハードさを吐露した深澤辰哉。これまでは1カ月ほどで仕上げていたものを半月と時間がない上に、演目も大幅リニューアル。名物の腹筋太鼓もパワーアップするという。

 太鼓稽古初日、思うように叩けないメンバーがほとんどだった。渡辺は「この日でフレーズを入れておかないと次から次へと追いつけなくなる」と、弱音を吐くでもなく飄々と語った。宮舘涼太はかつて「稽古でできないことは本番でもできない」(滝沢歌舞伎2017年パンフレット)という言葉を残していたが、僅かな時間も無駄にせず、黙々と稽古に打ち込むSnow Manの姿があった。

 さらに、仕事はこれだけではない。今回、舞台衣装のデザインに携わることになった宮舘は、衣装の打ち合わせに参加した。滝沢がコンセプトを伝える横で、黙って聞いていた宮舘に、「引き継いでいかないと、いつまで経ってもできないんで」と滝沢がアドバイス。スタッフからも「今まで滝沢さんと話してたやつをあなたと今度は話すわけ? 10年かかるね」とこちらも手厳しい言葉。それでも「任されたというよりかは、自分からやっていかないといけない」と反芻した宮舘。なるほど、主演とはこういうことか。

 2015年のインタビューにこんな一節があった。「(先輩と)同じようにやっても今の時代通用しないと思うから」(佐久間)、「ぼくたちのやり方を見つけなきゃいけないんだよ」(阿部亮平)(女性セブン2015年5月14・21日号)。

 ブレイクには決まった法則や方程式があるわけでもなく、プロセスは無数にある。誰もが手探り状態の中、それでも継続するしかなく、努力が必ずしも報われるとは限らない。そんな厳しい世界に身を置く彼ら。後輩が先にデビューすることも珍しいことではない。

 「デビューしたい」と、気持ちを打ち明けた岩本照。「貪欲って言葉のもう2〜3個上があったら、その言葉使いたいんすけどね」と言葉にならない想いを明かし、チームワークや想い、目に見えないことの重要性を語っていたのが印象的だ。

 TOKIO・国分太一のラジオ番組にゲスト出演した岩本。国分と雑談を交わす間、椅子を勧められるまで、床に膝をついて話を聞いていた。そんな礼儀正しさもあれば、最年少の村上の隣に座り、太鼓を教えていた深澤。「阿部くん分かんないっす」と向井から指導をお願いされた阿部。何でもない一コマから、Snow Manのストイックさ、温かさ、まっすぐな姿勢が垣間見えた。

 メンバーも6人から9人へと増え、これまで築き上げてきたチームワークも刷新。10年超の人気舞台を引き継ぐことになった重圧を背に、稽古に打ち込むSnow Man。「前でひっぱっていける力ってまだまだ全然足りない」と俯瞰した宮舘をはじめ、メンバーからは静かでもメラメラと燃える気迫を感じた。同時に「主演」という肩書の重み、容易に務まることではないことは彼らを通して伝わってきた。

■柚月裕実
Web編集者/ライター。企画、担当編集、取材・執筆してます。
日本の男性アイドルの頑張りを見ては涙する30代。
始まりはSMAP中居さん。 KAT-TUN、NEWS中心の事務所担。年中HDDの整理と原稿書きに追われています。

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