Nickelback、モンスターバンドならではの充実感あるライブに 熱狂に包まれた6年ぶり日本武道館

Nickelback、日本武道館公演レポ

 中盤で披露された「Something In Your Mouth」、そしてチャドのソロナンバーとして大ヒットした「Hero」でライブは再びクライマックスを迎える。特に「Hero」では多くの曲でコーラスを担当するライアンが2番を歌唱したことで、改めて彼の重要さを認識させられた。一見チャドの個性が強いワンマンバンドのようにも見えてしまいがちだが、地味ながらも的確に自身の役割を果たすライアンをはじめとする他メンバーの姿をライブで目にすれば、Nickelbackはこの4人でなければ成立しないバンドなのだと強く思うはずだ。

 ライアンが弾くピアノをバックに、ギターを置いたチャドが感情たっぷりに歌う「Lullaby」、観客2名をステージに呼び込んで一緒にパフォーマンスした「Rockstar」など、後半も和気藹々とした空気の中進行していき、最後は全米No.1に輝いた代表曲「How You Remind Me」を大合唱して本編終了。派手なアップチューンではなく、若干ダークな歌モノミドルナンバーで幕を下ろすあたりからも、このバンドならではの個性が感じられたし、こういう強気な終わり方ができるのも“モンスターバンド”と呼ばれる所以だろう。

 アンコールはグルーヴィーな「Million Miles An Hour」で幕開け。力強いビートに合わせて踊るオーディエンスに対し、チャドは感謝の言葉とともに「最後に踊ろう!」と呼びかけ、豪快なヘヴィロック「Burn It To The Ground」でジャパンツアー最終公演を締めくくった。

 時間にして約100分と程よい長さだったが、演奏された楽曲の数々はヒットナンバーばかりで、実際の時間より長く感じられるほどの充実感が得られるライブだった。なぜ彼らが長きにわたりロックファンから愛され続けるのか。それは時代が変わっても色褪せることのない名曲の数々と、観る者を飽きさせない最高のライブを常に提供してくれるからのほかならない。海外ではロック低迷と言われ続けているが、Nickelbackのようなバンドが活動を続けている限りはそんなことは言わせない……そんな声で溢れかえる日が再び訪れることを願ってやまない。

(文=西廣智一/写真=©Kenneth McDowell)

■セットリスト
『NICKELBACK JAPAN TOUR 2019』
2019年2月9日(土)日本武道館
01. Feed The Machine
02. Woke Up This Morning
03. Photograph
04. Far Away
05. What Are You Waiting For?
06. Where Do I Hide
07. Something In Your Mouth
08. Hero
09. Figured You Out
10. Someday
11. Lullaby
12. Animals
13. When We Stand Together
14. Rockstar
15. Gotta Be Somebody
16. How You Remind Me
<アンコール>
17. Million Miles An Hour
18. Burn It To The Ground

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