sweet ARMS×坂部剛『デート・ア・ライブ』音楽で描く絆の物語「士道と精霊の距離が近づいてる」

『デアラ』音楽で描かれる絆の物語

「坂部さんの曲はイントロの3秒で心が掴まれる」

――では、『デート・ア・ライブ』の音楽について色々とうかがいたいのですが、このシリーズの主題歌はどの曲にもストリングスやホルンが入っていて――。

坂部:しかも、ロックを基調にしている曲が多いですよね。でも、最初からそうしようと考えていたわけではありませんでした。そもそもTVアニメ1期のオープニングテーマ「デート・ア・ライブ」は、実はコンペで採用していただいたものだったんですよ。

野水&富樫&佐土原&味里:そうだったんですか?!

坂部:劇伴をやらせていただくことは決まっていて、そのときに主題歌のコンペのお話もいただいて書いたのが「デート・ア・ライブ」でした。コンペは必ず採用されるわけではないですから、プレッシャーもなく作曲したんですが、そのときに原作を読んで作業をしていたら、自然とストリングスが入ったロック曲になっていったんです。

――なるほど。その結果、戦いの激しさと、「精霊をデートでデレさせる」というこの作品独特の雰囲気とが、同時に伝わってくるような魅力が生まれているように感じました。

野水:確かに、『デート・ア・ライブ』で歌わせていただいた楽曲は、ストリングスの要素が入っていて、ただゴリゴリなロックだけではないところが、女性がスカートをひるがえして戦っているようなイメージを連想させてくれる気がします。そういう意味でも、女の子たちとの「戦争=デート」なのかな、と。あと、歌詞に〈デート・ア・ライブ〉や〈戦争<デート>始めましょう〉のような言葉が必ず入っていて、その雰囲気に、個人的には少し80年代のアニメっぽさも感じます。

富樫:そう! すごく分かる。

野水:そこもかっこいいですよね。お客さんもその部分で「きたー!!」と思ってくれる方が多いみたいで、それも魅力になっているように思います。

味里:あと、最初に「デート・ア・ライブ」を聴いたときは、ロックなテイストの曲ということもあって、「声優ユニットにしては珍しい曲だな」とも思いました。

野水:そういえば、私たちがよく言われているのが、「ヴィジュアル系っぽい」ということなんです。それこそ、LUNA SEAさんのような音楽を好きで聴いてきた人たちにも、『デート・ア・ライブ』の楽曲は刺さっているようで。それで、ギターを持ったこともないのに、「ヴィジュアル系バンド・sweet ARMS」と言われたりもしているんです(笑)。

坂部:実は、僕自身の音楽ルーツがそのど真ん中を通っているので、それが原因かもしれません(笑)。

――これまでの楽曲の中で特に思い出深い楽曲や、印象に残っている楽曲はありますか?

坂部:僕は「インストレーション」(PS3ゲーム『デート・ア・ライブ 或守インストール』オープニングテーマ)ですね。この曲は、音楽プロデューサーの植村俊一さんから「10分ぐらいの曲を作ってほしい」というオーダーが来たんです。でも、そのときすでに最初のデモを出した後で、その時点ではかなり短い楽曲になってしまっていて。「これを10分にするにはどうすれば……」と色々と考えていきました。いくらアイデアを入れても、なかなか10分にはならないんですよ(笑)。

野水:そういえば、最初に「インストレーション」を歌ったとき、私たちも「この曲はもうちょっと変わるから」と言われて、「アレンジが変わるのかな? 別バージョンができるのかな?」と思っていたんです。そうしたら、坂部さんからふたたび届いたものは、曲自体がとても長くなっていて(笑)。しかも、ギターソロがかなり入っていて、「ライブのとき、ここはどうしよう?!」と思いました。歌っていてテンションの上がる曲ですね。

富樫:私は、TVアニメ2期のオープニングテーマ「Trust in you」も印象的でした。このときは『デート・ア・ライブ』が2期を迎えた喜びもあったし、曲調も自分の好きなタイプの曲だったので。

味里:私も「Trust in you」がすごく好きです。

佐土原:私も!

味里:『アニサマ』(『Animelo Summer Live 2014』)に出させていただいたときに、「Trust in you」で登場させていただいたので、そのときのことも含めて思い出深い曲になりました。

佐土原:そもそも、私は坂部さんの曲が大好きなんですよ。しかも、「デート・ア・ライブ」と「Trust in you」でも少し曲調が変わっていて、「デート・ア・ライブ」のときは、(夜刀神)十香ちゃんをはじめとして色々な精霊たちとの出会いがあって、戦争という側面も強くて、曲もロックな雰囲気だったものが、『デート・ア・ライブⅡ』の「Trust in you」では、そこに女性らしさも出てきたように感じました。繊細さや美しさがより出ていて、でも、相変わらずかっこいい曲でもあって。その変化の仕方に「こんな表現もあるんだ」と思いました。あと、坂部さんの曲って、イントロの3秒でグッと心が掴まれるというか、出だしで「坂部さんの曲だ!」という気持ちになる曲が多いと思うんです。イントロの部分は、どういう思いで作られているんですか?

坂部:イントロに関しては、最初に「デート・ア・ライブ」のデモを出したときに、「ここにナレーションを入れたいので、イントロを延ばしてほしい」と要望があったんですよ。

野水:ああ、なるほど!

――あの語りを入れるために、壮大なイントロが生まれていったんですね。

坂部:そうなんです。そして、その雰囲気を以降も引き継いでいるということですね。

――他のお仕事と、『デート・ア・ライブ』での楽曲制作で違いを感じる部分はありますか?

坂部:『デート・ア・ライブ』の主題歌は、言葉にするなら「バーン!!」という感じです(笑)。熱量を入れて作らないと、『デート・ア・ライブ』の曲にはならないので。主題歌に関しては、最初に1期のオープニングテーマとして「デート・ア・ライブ」があって、毎回それに負けないものを作りたい、ということを考えながら作っていますね。

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