中居正広が嵐ファンに向けて送った温かいアドバイス ラジオから感じた“心の傷み”との向き合い方

 この日も、「雪下ろしで亡くなる人いるね、あれもう、気をつけて……」と切なげな声で訴える。1人でやらないようにすればいいのか、など雪下ろしの経験がないながらに、どうしたら悲しい事故が起きないかを考えるシーンも。

 さらに、ストリートミュージシャンが、売ったCDを目の前で踏み潰された動画についても「そのCDを作るにあたっての、ね? 色んな人が汗をかいてるわけじゃないですか……1人じゃ作れないですからね。それを踏みにじる、うん……」と、自分ことのように傷つく。

 “CDは買った人のモノだから、どうしようと自由”との言い分に対して、ミュージシャンやCDに関わった人たちの悲しみを、寒い今の時期に朝、冷たい水に触れながら親が作ってくれた朝ごはんを、なんのためらいもなく目の前でひっくり返すようなこと、と想像して「これ、胸張れますか〜?」と代弁し、改めて理不尽さを説いていく。

 その話題からの「そう言えば……嵐さんが活動休止を」の流れだっただけに、中居が憶測記事によって傷つくファンに胸を痛めてきたことが伺える。もちろん、中居は先述した通り、極力感情の起伏を見せないことをポリシーにしているため、直接言及したことはない。だが、長年このラジオを聞いているリスナーこと「中居ヅラ」(中居が語った「中居のファン面をしている人」)ならば、今回の放送で中居がこれまでファンが悲しんでいたとき、一緒に傷ついてきてくれたのでは、と改めて励まされたのではないだろうか。

 私たちの社会は「モノをどうしようが買った人の自由」と同様に、「事実を告げ知らせる報道の自由」を主張することができる。だからこそ、様々な情報に惑わされない心の防災が必要だ。誰かが傷つくことが容易に想像できる“自由”には、静かに首をかしげたい。特にアイドルの仕事は、夢のような楽しい時間を届けること。筆者個人としては、スタッフやアイドル、そしてファンが汗をかいて築いてきた世界を理不尽に壊すような、そんな告げ知らせるべき事実はないように思う。嵐をはじめ、多くのアイドルを愛するファンたちが、中居のアドバイス通り、心穏やかに楽しい時間を過ごせることを願っている。

(文=佐藤結衣)

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